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Childlike wonder[Episode1]

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「ふむ。お前の見込みは正しかったということか、侮れんガキだな。しかし……」
 不意にアダムの左手が伸びたかと思うと、ヴィクトワールの首をがっと掴む。
「……っ!」
 そのままアダムはヴィクトワールの体をやすやすと持ち上げ、高く掲げる。指が喉を締め付け、自分の体重がそれに拍車をかける。ヴィクトワールは顔をしかめて、なんとか呼吸を続けていた。
「うぅ……っ!」
「……まさかとは思うが、逃がしたわけではあるまいな?」
「まさか……我がアダム様に逆らうなど……!」
 ヴィクトワールが言い終わるか終わらないかのうちに、アダムはその体をベッドに乱暴に放り投げた。スプリングが軋んで、ヴィクトワールの体が軽く跳ねる。
「だよな、お前の人生は俺のものだ、お前を信用している。だが、示しがつかんのも事実だ」
 アダムが液晶テレビにリモコンを向けて操作すると、ぱっと立体的な地図が描かれてゆく。それはこのビルの構造図で、非常階段には五つの赤い点が動いていた。それはどんどん上へと登ってきており、すでに七十階へと達している。
「……」
「奴らの力であれば侵入がたやすいのは想定内だが、結果として敵を一人増やしてしまった。さあ、どう駒を動かすべきだ?」
「……我におまかせください。アダム様は、今のうちに脱出準備を」
 放り投げられた時に服の裾が乱れてしまったのを気にせず、上半身だけを起こしたままでうつむきながらヴィクトワールは答える。
「そうだな、今回は顔だけ見ておくか。rue-rue girls!のメンバーは全員下げろ、総力戦はとりやめだ」
「了解しました」
 ヴィクトワールが頭を下げてから部屋を出ていくのを見送って、アダムはワインを口に含む。
「ふはは、久々に坊やの顔でも見に行くとするか」
 不敵に笑いながら、アダムはバスローブを足元に落とした。
作品名:Childlike wonder[Episode1] 作家名:勇魚