小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

スーツケースには私の骨が入ってる

INDEX|1ページ/1ページ|

 
あっというまだった。


あぁ仕事疲れた
あぁ通勤電車
あぁやっと家
あれなんで電気
あれだれこの男
ガンッ




簡潔に言うとこんな感じだ。


…なんともあっけない人生だった。

なのにちっとも悲しくない。





男はなにくわぬ顔でスーツケースを引いていく。

私はそのなかでカラカラ揺れる。







好きな食べ物も趣味もなかった。

恋人もいないし別に欲しいとも思わなかった。

仕事だって全然楽しくない。

…そこまで考えてふと気付いた。


あぁそうか…




死んでいたのか、初めから。



どうりで悲しくないはずだ。


涙だって骨じゃなくてもだせないわ。






男は船にのる。

大事そうにスーツケースを抱えて。

そしてわたしごと落とすのだ。


この暗い海に。





スーツケースがガツンと岩にぶつかった。

中のビニール袋も破けて私が散らばってしまう。
私は真っ暗だろう海に飛び出した。








なんて


なんて綺麗



きらきら



きらきら





どうして



今更…




死んでから生を感じるのか








私は嬉しくて涙を流した。