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Gothic Clover #03

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 電車が駅に衝突して
 被害は4両目までで済んで
 罪久はいつの間にかいなくなってて
 警察が来て
 「詳しくは知らない」と言い張って
 やっと警察署から解放されて
 家に帰って
 荷解きは後に回して
 寝て
 起きて
 掻太から携帯がかかってきて…

「いろいろあったよなぁ」
「ボクはまだ疲れがとれないヨ」
「カルボナーラ誰ー?」
「俺ー!」

 で、ボク達はMarch hairにいるワケだった。

「最後インパクトあったなぁ、あの大惨事」
「楽しそうだなオマエ」
「だから捩斬と一緒にいるのはやめられないぜ」
「…どういうコト?」
「お前ってなんつーか、昔から事故とか災害を呼ぶ奴じゃん。だから面白いんだけどな」
「迷惑だとか考えないのかヨ」

 どんな災難でも楽しめるというのも羨ましい。

「何、どったの?」
「いやぁ、ウチら友達と6人で、2泊3日で旅行に行ったんすよ」
「あーいいなー行きたかったかも」

 詩波さんが旅行についてくる…考えただけでもそら恐ろしい。

「この後どうスル?」
「とりあえずゲーセン行こうぜ。あ、その海老くれ」

 ボクは「断ル」と言ったのに、掻太はお構いなしでボクのエビピラフの海老をフォークで刺して口に放り込む。早い。
 その時、ドアのベルが鳴った。

「あれ、来てんの?」
「あ、久しぶりっす」

 狭史さんだった。今日は休みらしく、ヤケにラフな服を着ていた。

「あ、はーくん注文は?」
「とりあえずコーヒー」
「ラジャ」

 狭史さんはボク達の横に座る。

「よぉ捩斬君?」
「……何すカ」

 嫌な予感しかしない。

「旅行は大変だったらしいなぁ」
「聞いてましタカ」
「ちょっとしたニュースになってるぜ。何でも列車事故だとか」
「ええ、まァ」
「全く、どれだけ騒動を起こせば気が済むんだ?」
「どれだけっテ、ボクはただ列車事故に巻き込まれただけデ──」
「去年も一昨年も大忙しじゃねぇか」
「…………」

 ボクと掻太は顔を見合わせる。そういえば確か何件かは隠蔽しきれていなかった。

「……調べたんですカ?」
「先輩が『またこいつか』って呟いていてな。知ってる名前だったんで過去の記事を調べてみた」
「プライバシーの侵害ですヨ」
「んなもんあるようでないようなモノだろ」
「──ハン」

 ボクはエビピラフを食べ終わる。

「とにかく、これ以上ヘタに目立つと変な疑いをかけられかねないぜ?」
「肝に命じておきますヨ」

 肝に命じておいてどうにかなる問題だとは思わないが。

「はーくんコーヒー」
「おうサンキュ」

 狭史さんの前にコーヒーが置かれる。相変わらずおいしそうなコーヒーだ。

「……そういえば詩波さん、このコーヒーは誰が作っているんですカ?」

 ちょっとした疑問。まさか詩波さんではないと思うが。

「ああ、ウチの兄貴」
「「兄貴ィィィ!?」」

 掻太とハモった。

「え、兄弟2人でこの店をやってるんすか!」

 掻太が驚きのあまり立ち上がる。邪魔だ。

「うん、そうだよ」
「狭史さんは知ってましたカ?」
「前に聞いた」

 う〜ん、知らなかった。だからこの店、テーブルの数が少ないのか。2人だけじゃ限界があるしな。

「……そろそろ行くカ掻太」
「ん、ああ」

 ボク達は立ち上がる。

「会計お願いしまス」
「ういうい」

 狭史さんに挨拶して、詩波さんにお金を払って、そしてボク達は外に出た。

「くっそ、まだ暑いなぁおい」

 まだ夏休みの真っ最中だ。

「ああ、死んでしまいたい程に暑いナ」
「いや、それはない」
「あっソウ」

 でもやっぱり暑い。アスファルトは蜃気楼を作っている。

「そういえばまだ8月に入ったばかりなんだよナァ」

 今年の夏はまだまだ有り余っていた。

「じゃ、ゲーセン行くか」
「アア」

 だからと言ってもボク達はただダラダラと遊ぶだけだった。ま、変なイベントは前回だけで充分だ。ボク達はゲーセンに向かって、ダラダラと歩き始めた。

++++++++++

 今回のオチ

「御帰りなさいませ御主人様」
「……」

 家に帰ったら罪久がいた。

「ご飯になさいますかお風呂になさいますか、それともわ・た・し?」

 ナイフを投げた。

「ぬぉう!?」

 よけられた。さすがに素早い。

「なんだよ冗談だよネジくん怒っちゃった?」
「なんでお前がボクの家にいるんダ?」
「あ、そうか、エプロンドレスを着てないからネジくん怒っちゃったのか! ごめんねネジくん。次からちゃんとエプロンドレス着るから」
「いや、そのネタはもうイイ」

 つーかボクがエプロンドレスを着ろと行ったら、こいつは本当にエプロンドレスを着る気なのか?
 ちょっとした疑問。

「なんでボクの家がわかっタ?」
「昨日ネジくんの後を尾行して、今日の昼に侵入した。」
「マジかヨ」

 簡単に侵入できるはずないと思うのだが。

「とにかく部屋にブービートラップ仕掛けるのやめようぜ?」
「ボクの勝手ダ」

 見れば部屋がかなり散らかっている。こいつ、トラップ全部破壊したのか? 今からこれらを全部片付けなければならないのかと思うと気が滅入る。

「で、ナンノ用?」
「お願いがあります」
「……何?」

やっぱり嫌な予感しかしない。

「しばらく俺様をネジくん家に居候させて下さい」
「……ハァ!?」
「いやぁ〜俺様の住家が久々に帰ってきたら完全に破壊されててさぁ、多分人喰の…桐馘の連中のせいだと思うけど」

 罪久が、ボクの家に来る……きっと罪久は今まで以上にトラブルを呼んでくるだろう。

「頼むよネジくん。絶対に迷惑かけないからさ」
「嘘つケ」

 前回君のせいで命の危機に晒されたのは忘れない。今でもまだボクはびっこをひいて歩いている状態だ。

「頼むよぉ」
「…………」
「お願いだからさぁ」
「…………」

 そういう悲しそうな表情をしないで欲しい。本当にあいつにそっくりだ。
 ……。
 ……。
 …………。
 くそっ!

「わかったヨ」
「やったぁ!」
「ただシ、絶対ボクに迷惑かけるなヨ!」
「ラジャです!」

 はしゃぐ罪久を尻目にボクは部屋の片付けを始めた。さてさて、ボクの人生は一体どうなってしまうのやら。全く──

「──つまらなくなってきやがっタ」

 下らない。
 笑えない。
 それこそ、壊滅的につまらない。

「じゃあ早速お風呂一緒に入ろうぜ」
「勘弁してクレ」










 黒白詰草 第参話 了
作品名:Gothic Clover #03 作家名:きせる