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フレンドボーイ42
フレンドボーイ42
novelistID. 608
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Creepin' Into Heart

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 心の中に、彼の姿が浮かんでは消える。

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 「チェックメイト、だな」
 笑って彼がいった最期の言葉。今まで殺し屋として名を馳せてきた、彼が、私という、彼にとって最大のライバルに、今、まさに倒される瞬間。世界一なをとどろかせていた彼が、私に消される、少し前の遺言。
 「あなたなら、こうならないように防げたはずよ。何でそうしなかったの」
 「俺も老兵だからな。おまえらみたいな若者には負けるよ」
 「私よりせいぜい2、3しか違わないでしょうに。私に、あなたのその銃で銃弾をたたき込むチャンスはいくらでもあったはずよ」
 「最近、物忘れが激しくてな、忘れちまった」
 「だから24、5でしょうが。ボケることなんてあり得るはずがないでしょうに。わざと、抜いたのね」
 「どうとでも受けとりな」
 「・・・あなた、・・・この場において勝機が全くないでしょ」
 「はなっから、おまえに勝つつもりはねえよ。いいから俺の気が変わらないうちに殺しやがれ。せっかく覚悟決めてんだ、ひと思いにやってくれよ。長き戦いに敗れたライバルに対する礼儀ってものはねえのか」
 「一つだけ、訊かせてもらうわ」
 「どうぞ」
 「なぜ、あなたは笑っていられるの」
 「・・・疲れた」
 納得できない答え、というか、これでは○×クイズにペットボトルと答えるようなものではないか。
 「もう、疲れたんだよ、緊迫した生活を送るのに。俺は愚直じゃねえからよ、土雲母縛られた生活って言うのが苦しくてしょうがねえ。といっても一どこの世界にはいっちまったら死ぬまでそう(=死への恐怖にびくびくしながら休み無く過ごす生活)だ。・・・もう、いいじゃねえか。俺がやりたいことは終わった。恨みのある奴は全員地獄に送ったんだ。俺も、年貢の納め時だろう」
 「だったら、あなたのもっているシルバーバレット(Silver Bullet。バンパイアを殺す銃弾にたとえて、恨みの強敵を殺すために携帯する銃弾)を頭にたたき込んで死んでしまえばいいじゃない」
 「ひどくつれねえこと言うなよ。最期の時くらい、おまえに身を委ねたらだめなのかってんだよ」
 「残念ね、あなたはそういう人だとわかってたらライバルになんてならなかったのに」
 「仮定法的構文は止すこった。俺は、気分がいい奴に殺される方が自殺するよりよっぽどの望みだね。おまえには理解してもらえないことかもしれねえがな。・・・さあ、もう答えたろう?撃ってくれ、ブラック・リリーさんよ」
 「・・・」
 私は引き金を引いた。装填された銃弾は、まっすぐに彼の心臓を貫いた。
 「・・・グッド・ガール」
 彼は、私をそう形容して、すぐに息をやめた。

 #

 私にかなう殺し屋は彼しかいなかった。彼を私が殺した瞬間、空気は一気に何もかもが緩んだ。
 私はその後も殺しを続けていた。ヒドゥン・カオス亡き後の世界で。
 私は彼と組んだことも一度ならずある。そのたびに彼は、私になぜか手料理を作らせた。敵が用意したものを食べると言うことは何よりも殺し屋として避けるべきことであるはずなのに。ヒドゥン・カオスは言う。
 「入れたかったら毒でも下剤でも入れるがいいさ。素直に死んでやるよ」
 でも私は彼を殺したいと常日頃思っているのに、彼がともに行動をする間はその気が失せてしまうのだった。それどころか無駄に栄養バランスを考えてしまうほど。
 彼は私と組んでいる間は、とかく私を守る格好でたっていた。
 「いつか来る日のために、お前は生かしておくよ。だから、俺が殺すまで、死ぬんじゃねえぜ?」
 馬鹿じゃないか、と思うこともしていたが、しかし彼はねらった獲物は絶対に逃さなかった。それこそ口調に反して性格は几帳面そのものだった。彼は銃を操りだれでも地獄に送り込む。彼を囲んだとき、すでに囲んだ側の運命はつきている。
 
 #

 彼の服のポケットに入っていたメモ。
 「拝啓
ブラック・リリーへ
俺の隠れ家がここにある。
どうしても悩んだらこい。
まあ、そんな役立つグッズがあるかは微妙だがな。
健闘を祈ってるぜ。
敬具
ヒドゥン・カオス」
 私は素直に従ってそこへ向かう。一つの黒いドアを開けるとそこは殺風景な鉄の部屋。中にはメモ用紙が散乱している。

・「殺し屋という職業:人を殺して報酬を手に入れる仕事」
・「ムカつく奴には額に弾をぶち込んでやるのがいい」
・「この生活にはいったからには本名を捨てることにする」
 
 このようなものもある。「消したい奴リスト」
 そこに書かれた名前には皆横線が入っている。すべて知っている殺し屋の名前だ。彼が殺したというのなら説明は付く。ほかの人間には、おそらく殺し得ない人間兵器だから。

 そして。
 「ブラック・リリー考察」

 要約するとこうだ。
・ブラック・リリーは表世界にいたら必ず幸せな生活を送っていた美貌の持ち主だ
・俺でも殺せないかもしれないルーキー
・一時的でも味方である奴には牙をむくことはない
・戦いかたは背後から銃で撃ち抜くという、俺のやり方に酷似した方法(精度は俺よりずっと上だろう)
・それ以外の手法はとらない
・この生活にはいった理由は、死んだ両親の財産を食い物にした親類縁者を皆殺しにするため(もう済んだ事項)

 そして、そこにクリップで束ねられたメモが一束ある。

 「やあ、来てくれたかよ?恥ずかしいな、お前のことを調べてたなんて。笑っていいんだぜ。紛れもなくストーカーに近いことをやってたんだからな。まあ、許してくれ」
 「はっきり言ってお前は俺の好みだった。俺と同じ殺し方をやっていることには、ほかの連中ならムカついただろうが、俺より正確性があって、俺の教え子的な気分でみてて気分が良かったぜ」
 「おまえ、可愛いしな。お前きっと今からでも表に戻れるんじゃねえか?お前の顔は裏じゃばれてねえよ。知っているのは、俺だけだ。まあ、別にお前が興味ないなら、それでいい」
 「俺はお前が好きだった。だからお前に殺されにいこう(このメモを読んでいる頃には俺はお前に殺されているはずだ)。俺の、敗北宣言だ。殺し屋はターゲットに少しでも好意的な感情を寄せたら死ぬ。俺の最期の死にざまを見届けてくれてありがとうよ」
 「じゃあ、お前はこれからどうするかかんがえな。・・・今、お前があるいているのはよ、お前の人生なんだから」

 私は、それを理解して、そして銃口をこめかみに突きつけた。

 「・・・私は、死者ヒドゥン・カオスに対する敗北宣言をします」
作品名:Creepin' Into Heart 作家名:フレンドボーイ42