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サヨナラ、ママ。

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#08 虐待。



犬なんて、大嫌いだと思った。

それまでは猫5匹たちと彼と暮らしていた私。
猫以外の動物だって、
基本的には何でも好きだと思っていたのに。

生まれて5ヶ月の、赤ちゃん子犬のむーむ。

どうしてこのコは、言うことをきいてくれないの?
どうしてこのコは、吠えてばかりいるの?
どうして部屋をぐちゃぐちゃにするの?
どうしてトイレを覚えてくれないの?
どうして? どうして? どうして?

あー。また吠えてる。また始まったよ。。。
もー!!うるさいっ!うるさいっ!

嫌で嫌で仕方がなかった。

叱ることが面倒だった。
叱るってことは、そのコとちゃんと正面から
向き合わないと出来ないことなんだと知った。

怒ってばかりいた。
そのうち、怒る気も失せた。

部屋の中に置いた、半畳くらいのケージ。
小さな檻の中。ずっとそこに入れたまま。
お水とご飯だけあげて、後は知らんぷり。
吠えたら、
「はい、はい、おやすみねー」。
毛布をかけた。昼でも夜でも。そのままずっと。

虐待。酷い虐待。

でも、その時は虐待だなんて感じなかった。
感じる余裕もなかった。

「あーっ!!! もう、犬なんて大嫌いっ!」
「本当に大嫌い!!!」

何度、むーむに叫んだろう。

私はただただ、疲れ果てていき、
自分のご飯を食べるのも面倒になった。
「ママも食べないから、むーむも我慢ねー」

友人が遊びに来た時、
「ちょっと!ご飯、ちゃんとあげてるっ!?
むーむ、ガリガリじゃんっ!元気だってないよっ!」
そう言われた。

「。。。えー。。。。そんなことないよー、ねー? むーむ」。
むーむは下を向いていた。

むーむのことをカワイイと思うことが出来なくなっていた。
むしろ、自分が何か上手くいかない時は
全部むーむのせいにしていた。

むーむと暮らした約2年くらいの間、
むーむは3回、脱走した。
保護された警察や保健所から連絡が来る度に
全く迷惑ばっかりだって。
なんで、あのコはそういうことばっかりするんだろう。
なんで、いいコじゃないんだろう。
って。
むーむのことが嫌で嫌で仕方がなかった。


作品名:サヨナラ、ママ。 作家名:さんななご