二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

ヒオウ・ヒナタ~~溺愛魔王と俺様~~

INDEX|10ページ/54ページ|

次のページ前のページ
 

庇護1



今回は直接敵方と争う事はなく、ただの遠征だった為、誘われたヒオウも一緒についてきていた。

ハイランドとの直接の戦いにはヒオウは参加しない事にしていた。
自分は今のところまだ、どうしたって有名であり、やはり同盟を組んではいてもトランの英雄が直接都市同盟側についていると主張するのはあまりいただけない。
パーティを組んでちょっとした敵に会う程度ならいいが、大掛かりな戦いには大勢の目がある為控えることにしていた。
まあ最初に軍に手を貸すのではなく、ヒナタ本人にのみ手を貸すと宣言している訳であるが。

今言った理由以外でも、ハイランドには後ろ盾にハルモニアがいる。
そんな中で大っぴらにこの身をさらけ出すつもりはない。
あの大国は真の紋章を集めているという噂がある。

ヒオウはテッドにコレを守り抜くと約束している。
だからわざわざ危険にさらすような事をするつもりはない。


「今日はどうやら野宿するしかなさそうだなー。」

ヒナタが呟いた。
とてもいい天気だったが、もう日も暮れかかっており、周りには1軒の家も見当たらない森の中である。そろそろ野宿の準備をしておかないと暗くなってしまうだろう。
一同は荷物をおろした。

今回のメンバーはヒナタ、ヒオウの他はナナミ、アイリ、ルック、クライブである。
どういう組み合わせかというと、まったくもって意味なし。
ただ単にいつもの如く適当に選んだだけの様子。
後付で、”ほら、森の中ならクライブの銃で獲物簡単に捕まえられるし、アイリの火があれば調理も楽々っ。何かあればルックにテレポートしてもらえば万事オッケー〜”とか適当な事をこの盟主はほざいていたが。

「じゃあ、あたしとアイリちゃんが料理するよっ!!」

ナナミが張り切って言った。
その瞬間その場が固まった。慌ててヒナタがナナミに言った。

「え?いや、料理は僕がするつもりだったんだけど・・・」
「えー?何で?ヒナタは疲れてるんだから、こういうときは休んでなさいっ。こういうときこそ女の出番よっ、ね?アイリちゃんっ。」
「あ、ああ。そうだよ、ヒナタは休んでなよ。」

アイリはともかく、言い出したらナナミはもう止まらない。すでにもう準備に入っていた。
男共は離れたところに集まった。

「ちょ、どうすんのさ。僕、無理だからね。」

ルックが青くなって言った。
さすがのクライブもそっと頷く。

「僕だってそんなつもりはなかったんだよっ。ていうかお前らが言うな。この何でもマズイチームっ。」
「勝手に訳の分からないチーム作らないでくれる?」
「ていうか何でそんなにあせってるの?」

そんな中ナナミ料理を食べた事がないヒオウはきょとんとして聞いた。
ああ、そういえば知らなかったかと、ヒナタが遠い目で言った。

「あー・・・。実はですねー、ナナミの料理はある意味殺人兵器なんですよねー。」
「は?」
「なんていうか、見た目とにおいはかなり美味しそうなんだよね。ほんと。んで、食べた瞬間、あの熊ですらぶっ倒れた。」
「・・・え・・・?」
「何入れたらあんな風になるんだろ・・・。口では表現できないけど、とにかくまずいっていう段階じゃない。兵器なんだよ。」
「・・・そ、そうなんだ・・・?あ、でもアイリがいるじゃない。」
「あーそのアイリだけど。」

困ったようにヒナタが続けた。

「この間、姉に習ったっつーて夜食としてコロッケ作ってきてくれたんだよねー。アイリコロッケ。」
「へえ。もてもてだね。」
「いや・・・それどころか、アイリは僕の事嫌いなのかと・・・」
「へ?何で?」

ルックやクライブは気付いていた。
そう。
アイリコロッケ。
食べたら毒ステータスになる。

「・・・・・。」
「あーどうしよっかなー。あっ、そうだ。ルックかヒオウが作るって言うのはどうよ?」
「「は?」」
「だからさー、僕が作るっつってもだめだったけどさ、どっちか2人が練習の為にってんならさー・・・」
「え、なんで僕?」
「ちょ、なんでこの僕が・・・」
「うるさいなー、毒死したいの?あ、ねーえナナミい。ちょっと待って。なんかさー、ルックとヒオウが料理の練習したかったんだってえ。」

面倒だったのか、どっちかではなくどっちもにされてしまった。

「ええ?なんで?」

ナナミが不思議そうに聞いた。

「なんかね、ルックはさ、レックナートの小間使いやってるからそこそこ出来るけど機会があれば上達したいみたいでさー。ヒオウはいつもグレミオさんに頼ってばかりだから陰で練習して驚かせたいって思ってるみたいー。」
「そうなんだー。それなら2人ともそんなこそこそしないで普通に言ってくれればいいのに。残念だけどあたし達はまた次の機会に作るよ。確かにこういうときでないとこそっと練習できないもんねー。」
「でしょ?だからこの2人に任せようよ。ルックが一応作れるだろうから大丈夫だよ。」

話は勝手に進められた。
ヒオウがルックに近づいてボソッと言った。

「・・・ねえ、小間使い。」
「ちょ、違うからね。・・・でも何で僕がレックナート様の世話をしてんの知ってんだよ、あの小猿・・・。」
「・・・やっぱり小間じゃん。おまけに僕まで?確かにグレミオに頼ってばかりだけどさ・・・。ねえ、何なのあの妙に確信のある話し方は・・・?」

ヒオウもルックも呆然と立ち尽くしていた。

「だからナナミもアイリもゆっくり座ってなよ。何もしなくていいよ。んで僕とクライブでちょっとその辺狩り行ってくるから。」
「ええ?2人で大丈夫?それだったらあたしも・・・」
「いいからいいから。んじゃヒオウ、ルック、頑張ってね。僕らはいい肉探しに行ってくるからー。じゃ、クライブ、行こうか。」
「ああ。」

ヒナタはニコニコと手を振って、クライブとどこかへ出かけてしまった。

「え?何あれ。何でクライブと行く訳?それなら僕だってあっちがいいけど。」

ヒオウが不満げにルックに言った。ルックはジロリと睨んだ。

「うるさいな。仕方ないだろ。こうなったら準備、するよ?」
「えー。ルックがやる気!?」
「・・・ナナミの料理食べるくらいなら自分でするほうが何百倍もマシ。ほら、アンタもやるんだよ。」

まだ不満げな英雄を引っ張り、ルックは準備にとりかかった。
どこかでクライブの銃の音がしていた。