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漆黒のヴァルキュリア

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第三章 これぞ勇者! いろんなイミで! 9




作詞:杜山渓水
作曲:帝国陸軍
編曲:噴進団
歌:宇美由香葉with噴進団

今日も今日とて食糧不足
武士は食わねど高楊枝
腹も減ったが気力で勝負
腹の中身は気合で満たせ

嗚呼 嗚呼 後藤月光切り込み隊

今日も今日とて弾薬不足
刀で切り込みゃ弾などいらぬ
夜陰に紛れて突撃だ
敵前逃亡 背中を斬るぞ

嗚呼 嗚呼 後藤月光切り込み隊

今日も今日とて戦果が不足
物資足りなきゃ命を散らせ
秘密兵器に搭乗だ
命一つで敵艦轟沈

嗚呼 嗚呼 後藤月光切り込み隊


 曲の終わりは、カラオケ勝負の終焉でもあった。
 人々は恵那の歌声に打ち震え、感動の涙さえ流す者もいたという。
 その後、妙音天女、恵那、ムニンがアストラル質を実体化させて配った紅白の札。そして、それを数える野鳥の会の皆々様のオカゲで、後に語られる『33回春コミの奇跡』の勝敗は決した。
 5912票対、5387票。
 春日恵那の勝ちであった。
 そして、得意分野であるハズの『歌勝負』に敗れた妙音天女は――
「技芸を司るウチが負けるやなんて……屈辱や! めっちゃ屈辱や! 絶対リベンジしたるかんな! このあほ〜〜〜〜っ!」
 ――という呪詛のこもった捨て台詞を吐いて、その場から消え去った。
 恵那はと言えば、エナに交代もできず、板から下りる事もできず、コミックカーニバル運営委員に『この騒動の主犯』として連行されるまで、その場を離れる事ができなかった。
 もちろん、『標的』をどうこうできる状態でなかったのは言うまでもない。

 なお、その場にいたアニソン評論家のA氏は、この勝負を次のように分析している。
「あーアレはね、歌の上手い下手じゃないの。単に、マニアウケするレアな曲だったかどうかだよね。あと、根尾那智香ちゃんの潜在的ファンの多さ?」