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青き空淡々

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 計算をば速き人になりたし。計算と言へども数学にあらじ、心情の察する論理を言ふ。常、彼の人の仰せし事、すなはち分からず考ふ考ふ。彼の人、瞳丸まらせ、暗きに笑み、去りぬ。我が頭脳明晰にあらましかば、彼の人の笑み更に明るからまし。彼の人いと賢きに、我聡しくはあらず、彼の人の思ひ分からじ。
 論理の組み立ての速き女でありたし。例により彼の人は自らを否定せむとす、その速さ風の如し、我、悪しき風吹く前に彼の人を肯定したく存ずる。彼の人も肯定を求む。しかるに我聡しくあらず、望み叶はず。
 彼の人、丸き瞳細めて、哀しきことぞのたまふに、我にも過ぎて賢き人はあらざらむ、と。我その言打ち消したく考ふ考ふ、しかるに遅く、彼の人の丸き瞳ぞ陰りいる。いと哀し。かたじけなし、かたじけなし、我繰り返し申すばかりに、彼の人悩み、黒髪ぞ傾ぐ肩に流るる。その肩ぞかき抱きたく存ずるに、我女ゆえ叶はず。また彼の人自らを否定すべく、空をば見上げつつながむ。我、雲の如き愚鈍を呪ふ呪ふ。彼の人のまた背を丸め、独り侘しく思す姿だに気付かじ。空淡々と青く、雲朗々と白く流るるに天には届かず。
作品名:青き空淡々 作家名:m/枕木