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秋月あきら(秋月瑛)
秋月あきら(秋月瑛)
novelistID. 2039
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海の砂

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放課後、ともだちたちと海に行こうって約束したのに、気付いたらわたしだけ。
 みんな急に用事ができたからって。
 いっしょに行くはずだったユーコからはこんなメールが来た。

『がんばって!』

 ……だって。
 なにをがんばればいいんだか。

 わたしひとりになっちゃったし、海に行くのやめようとしていたら、アイツからこんなメールが来た。

『何かおみやげ買って来いよ、“海の砂”とかでいいからさ』

 “海の砂”じゃなくて、“星の砂”でしょ。
 そんなの間違えるのアイツらしいけど。

 あ~あ、なんかホントあったまくる。
 おみやげ買って来いだなんて、しかも命令口調。
 何様のつもりなんだろ、ホント。

 だって、海に行こうって最初に言い出したのだってアイツなんだよ。
 それなのにアイツったら、「すっかり忘れてた」だって。
 もぉ、信じられない。

 でも、気付いたら星の砂を手にしていたわたし。

 ホントに買っちゃったはいいけど……。
 なんか渡しずらいな。

 わたしは星の砂を持ったまま、砂浜まで歩いてきた。

 太陽が海の向こうに沈んでいく。
 海水浴場から離れているせいかな、誰もいなくてなんだか寂しい。
 夏だっていうのに、なんだか今日の海風は冷たいし。

 急にわたしは思い立って、カバンからノートとペンを出した。
 少し破ったノートの切れ端に文字を書いて、星の砂が入ってる小瓶に詰め込んだ。

 そして、その小瓶を海に向かって投げ込もうとしたとき――。

「おい、なにやってんだよ?」
「えっ!?」

 驚いて振り返るとアイツが立っていた。
 小瓶はわたしの手を離れて海の中。

「今、なに投げたんだよ?」
「……アンタのおみやげ」
「はぁ? なんで海に投げんだよ、ったく」

 アイツは学生服のまま、海の中に飛び込もうとした。
 それを必至に止めるわたし。

「いいってば!」
「よくないだろ、オレのおみやげだろ!」
「もういいってば!」
「よくないって言ってんだろ!」
「もぉ、うるさいなぁ。いいったらいいのっ!!」

 わたしが怒りながらアイツの腕をぎゅっと握ると、やっとあきらめてくれたみたい。
 だけど、二人ともクツまで海に浸かっちゃって、もう靴下までビショビショ。

 そしたら、アイツったら、

「おまえのせいだぞ」

 だって。

「なんでわたしのせいなの?」
「おまえが“海の砂”海に投げるからいけないんだろ」

 思わずわたしは笑ってしまった。
 だって、また“海の砂”なんて言うんだもん。

「なに笑ってんだよ?」
「別にぃ~」
「なんだよ、教えろよ」
「や~だ」
「だったら“海の砂”投げた理由教えろよ」

 それは……。

「ひ~みつ!」

 わたしは笑いながら砂浜を駆け出した。
 だって、それはわたしだけのヒミツ。

 小瓶に詰めたわたしのおっきな想い。
 今はまだわたしの胸にそっとしまっておこう。
作品名:海の砂 作家名:秋月あきら(秋月瑛)