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【リリなの】Nameless Ghost

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従章 第十一話 トライアル・アーツ



 閃光に眩み、視神経を刺激する激痛にアリシアは涙を流しながらうずくまりただそれが過ぎ去るのを懸命に耐えた。

「アリシアちゃん! ゴメン、警告するの忘れてた!」

 側に駆け寄る足音はおそらくエイミィのものだろうとアリシアは推測し、戦場に投入されるはずが自分だけここ、ハラオウン邸に移送されてきたことに舌を打つ。

「私の眼鏡を。早く……」

 この状況では、暗がりの中のコンソールルームの光でも辛いと判断したアリシアは腰のポーチからサングラスを出して貰うようエイミィに頼む。

「分かった、これだね?」

 エイミィから手渡された固い感触の眼鏡を受け取り、アリシアは素早くそれを掛けて何度か目をしばたたかせた。
 どうやら、失明はせずにすんだようだ。視界はまだ若干ぼやけ気味だが、時間をおけばやがて安定するだろうと判断し、アリシアはエイミィに礼を言って立ち上がった。

「ああ、ビックリした」

 全く油断だったとアリシアはため息を吐き、今後はこういうことが無いように心掛けようと誓いを新たにコンソールルームに投影された戦場を見上げた。

 そこに写るのは、管理局武装隊が展開した強装結界に閉じこめられた二人の騎士、そして、それを見上げる形で姿を現す三人の少年少女と一匹の使い魔。

 戦いの火蓋が切って落とされようとしている。
 アリシアはポケットの中のプレシードを握りしめ、自分はどうしてあの場にいないのかと歯ぎしりをしたくなる思いだった。

「聞こえる? なのはちゃん、フェイトちゃん」

 レイジングハートとバルディッシュをセットアップするなのはとフェイトは、その起動プログラムが以前のものと異なることに驚きの声を上げている。
 エイミィは詳細を説明する前にぶっつけ本番になってしまったことに内心焦りながら二人に声を掛ける。

『エイミィさん、これって』

『バルディッシュが、以前と違う? どうなってるの?』

 光に包まれ、姿の見えない二人だがその声を聞く限り驚きながらも落ち着いていることが類推できる。
 アリシアはひとまずホッとして、二人に声を届けることとした。

「なのは、フェイト。聞こえる?」

『お姉ちゃん? 今どこにいるの?』

 どうやらフェイトもアリシアが別の所に転送されることを知らなかったらしい。てっきり同じ場所に転送されるだろうと思っていたところ、側にはアリシアの姿が見えないとあれば転送事故でどこか訳の分からないところに送られてしまったではないかと思っているのだろう。
 心配性の妹のことだとアリシアは苦笑をしながら、ひとまずフェイトを落ち着け話を進める。

「フェイト落ち着いて。フェイトのバルディッシュとなのはのレイジングハートは生まれ変わった。ありとあらゆる障害を打ちのめし、この世界の王となるべく力を求め。何者にも負けない、あらゆるものを叩いて壊し、あなた達を絶対的な勝利へ導くために、バルディッシュとレイジングハートは完璧な戦闘兵器へと生まれ変わったんだ! さあ、戦ってフェイト、なのは。あなた達の勝利は既に約束されている。すべてを破壊し、すべてを薙ぎ払い、この世界のすべてを支配してみせて! 今こそ私にあなた達の覇道を示して!」

 エイミィは「うわぁ」と頭を抱え、通信から駄々漏れになっているアリシアの演説/戯言を聞いて目を点にしている武装隊の面々に「ゴメンね」と心の内に謝った。

『そ、そんな物騒なものいらないよぉ!』
『お、お姉ちゃん。冗談、だよね? バルディッシュにそんなことさせないよね? お願い、冗談だって言って!!』

 狼狽する二人にアリシアは細く微笑み、レイジングハートなら今頃『いいぞ、もっとやれ』とはやし立てていただろうなと推測し、エヘンと咳払いを一つした。

「まあ、半分は冗談だよ。半分だけね。兎も角、レイジングハートとバルディッシュは強化されているのは本当。だから、呼んでやるといい。彼等の新しい名前をね」

 エイミィがとなりで「アリシアちゃんがあたしの台詞取った」と嘆いているのを華麗に無視し、アリシアは門出の言葉を贈った。
 名前を呼ぶことは重要だ。それが人間同士であっても機械が相手であっても。

『機械とは名前を付けてあげれば機嫌良く動いてくれるものだ』

 とどこかのマシン・マニアが口にしていた言葉をアリシアは思いだし、少し面白くなった。
 そして、新たな関係には新たな名前を。

 なのはとフェイトは、その言葉を受け、自らのデバイスを再び掲げて高らかに宣言した。

『レイジングハート・エクセリオン』
『バルディッシュ・アサルト』

 なのはのその言葉にアリシアは「エクセリオンとは何とも尊大なことだ」と溜息を吐いた。

『セェーーット・アップ!』
『セェーーット・アップ!』

《Stand by ready. Set up》
《Yes Sir. Get set》

 そして、二人の周囲に展開していた光のカーテンが瞬間的に一際まぶしく輝き、桃色と黄金、二つの色彩が瞬時に晴れ渡った後にたたずむ二人は新たな力を得たデバイスを携え、さらに改良されたバリアジャケットを身に纏っていた。

「やったぞ、大成功だ!」

 その光景を目にしてアリシアは、技術者なら誰でも一度は口にしたいだろうベスト3の言葉を口にし、エイミィの見えないところで両手を握りしめた。

******

「………すごい………」

 なのはは、見た目には何の変化もない自身のデバイス。魔導師の杖レイジングハートを手に取り、それが発揮する感覚に背筋が震える思いだった。

「本当にレイジングハートなの?」

《That's right master. Rather, will it be places such as returning to the original figure gradually? Master, you clench thing is the world oldest and strongest device 【 the trial arts 】 being reborn. The name in the indomitable heart ( Rasingheart ) can be given by Euno Scrya and it is device in the new name with the master》(無論です、マスター。むしろ、ようやく本来の姿に戻ったといったところでしょうか。マスター、貴方が握りしめているものこそが、世界最古にして最強のデバイス【トライアル・アーツ】の生まれ変わり。ユーノ・スクライアによって不屈の心(レイジングハート)の名を与えられ、マスターによって新たな名前をえたデバイスなのです)

 誇らしげなレイジングハートの言葉に、なのははアリシアの言っていた言葉があながち冗談ではないのではないかと思い知った。