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秋月あきら(秋月瑛)
秋月あきら(秋月瑛)
novelistID. 2039
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マ界少年ユーリ!

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第3話 OH エド捕物帖オウジサマン!9


 今日のユーリちゃんはウキウキ気分♪
 ギルドから報酬をもらってビビちゃんへのプレゼントを買ったのだ。
 桐の箱に入った高級フルーツのピンクボム。またの名をラアマレ・ア・カピス。古代語でラアマレ・ア・カピスとは?神々のおやつ?と云う意味だ。
 ピンクボムはビビの大好物だ。これさえあれば勝てるとユーリは確信していた。
 学生宿舎の廊下をスキップするユーリに声がかけられた。
「ユーリさん!」
「ん?」
 アインが息を切らせながら駆け寄ってきた。
「こんにちはユーリさん、捜索しました」
「こんにちはアインちゃん♪」
「なにかラッキーイベントでもありました?」
「うん、ちょっとね」
 ユーリはニヤニヤが抑えられなかった。
 アインは改まった感じでこんな話しをはじめた。
「えと、実は父がグラーシュ山脈で遭難したときに、ある人に救助してもらったそうなんです」
「それがどうかしたの?」
「その人が至極高価な鉱石を用意してくださって、あの剣を作ることができたそうなんですけど、その人はどうやらユーリさんのこと探してたみたいなんです」
「まさか……」
 ユーリの脳裏に浮かぶ黒頭巾。
 次のヒントでユーリの想像は確信となる。
「腹話術をする?変な人?だったらしいんですけど、名前はたしか……」
「セバスちゃんでしょ」
「そうです、その人です。あのぉ、その方に会ったら父がお礼を言っておいて欲しいと言ってました。なんだかお礼を言う前に姿を消しちゃったみたいで」
「うん、わかった(会えるかわかんないけど)」
「ありがとうございます!」
 元気にアインはお礼を言って、次に別れを告げようとしたところに、ユーリからこんな話を振られた。
「ところでアインちゃんちの夫婦喧嘩の理由ってなんだったか聞いてる?」
「母には口止めされてるんですけど、実は目玉焼きが原因らしいんです」
「目玉焼き?」
「はい、目玉焼きはしょうゆで食すのとソースで食すの、どちらが美味かでもめたそうで……(娘として至極恥ずかしいです)」
 しょーもない理由だった。
 ユーリはボソッと呟く。
「……くだらない」
「そうですよね、くだらなくて悲しくなっちゃいます」
「ホントくだらない。目玉焼きは塩コショウが一番に決まってるじゃない!」
 目玉焼きの食べ方は人それぞれです。あまり他人の食べ方にとやかく言うのはやめましょう。
 そんなトークも展開しつつ、話が一区切りしたところで二人はバイバイすることにした。
「どこか行く途中だったんですよね、引き止めてごめんなさいでした」
「ううん、ぜんぜん平気だから。じゃあね、また明日学校でね!」
 ユーリはアインと別れを告げてスキップ♪
 桐の箱を大事に抱えてビビのいる部屋に急いだ。
 ビビも同じ学生宿舎で寝泊りしているらしく、ルーファスからちゃんと部屋番号を教えてもらっている。
 ビビの部屋まで来たユーリは大きく深呼吸。
「よしっ!」
 気合を入れてユーリはドアをノックした。
「ビビちゃんこんにちは♪」
 すぐにドアが開けられた。
「ユーリちゃん、こんにちわんこそば!」
「この前ビビちゃんに嫌われちゃったみたいだから、仲直りしたくてプレゼント持って来ました」
「ほえ? あたしがユーリちゃんのことキライに?」
「えっ?」
「あたしユーリちゃんのこと大好きだよ、大事なお友達だもん♪」
「…………」
 どうやら嫌われていなかったようですね!
 てゆーか、ビンタ事件のことすら覚えているか怪しい。
 ビビは眼を輝かせて桐の箱を見つめている。
「プレゼントってなぁに?(ドキドキわくわく)」
「えーっと、ピンクボムが好きだって聞いたから」
「やったぁラアマレ・ア・カピス大好き! 早く食べよ食べよ♪」
 ビビはユーリから桐の箱を奪って部屋の奥に消えてしまった。
 取り残されたユーリはボソッと呟く。
「……女ってわからない」
 乙女心は複雑なんですね!

 第3話おしまい