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秋月あきら(秋月瑛)
秋月あきら(秋月瑛)
novelistID. 2039
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マ界少年ユーリ!

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 こんなアホなヤツに負けてたまるかと、敵ギルド員が束になって斬りかかってきた。
 フードの奥で嘲笑するジャド。
「喰らえ、通販で勝った包丁セット!」
 用途に応じた包丁が用途無視して投げられた。
 投げられた包丁セットは敵ギルド員の手に刺さり思わず剣が落とされた。
 手を押さえて歯を食いしばるギルド員たち。
 圧倒的なジャドの強さ。負けたほうはいろんな意味で悔しそうだ。
 だが、ユーリは蒼ざめていた。
「……あはは、ジャドの体を剣が貫通してるように見える(きっと手品だよね、どこかに種があるんだよね!)」
 ユーリは自分に言い聞かせた。
 すべて幻想です!
 でもやっぱりリアルだったりした。
 自分の腹を貫通する剣をジャドは慌てることなく抜いた。
「俺は痛みに耐える修行をしている。こんなもの痒くもない」
 そーゆー問題なのか!
 ジャドの足元がふら付いた。
「だが……痛くなくとも……貧血にはなる」
 バタン!
 ジャドは貧血で倒れてしまった。
「痛くないとか意味ないじゃん!」
 ユーリのツッコミ。
 腹から血を流して倒れているジャドを見ながらユーリは不安そう顔をした。
「元はといえばアタシを助けてくれてこんなことに(愚民が特権階級を守るの当然だけど)。でも……アタシを守ってくれたこの人を……絶対に死なせたくない!」
 なにか熱い想いがユーリの胸を突き動かした。
 すぐにユーリは回復呪文を唱えようとした。
「ラヴヒール!」
 ――声が木霊しただけだった。
「しまった、呪文使えなかったんだ!」
 ユーリちゃんショック!
 慌てふためくユーリ。
「ちょっと待って、今何とかするから。え〜と、絆創膏……なんて持ってないし……あっ」
 ポケットの中を探っていたユーリは小瓶を見つめた。
 その小瓶はカーシャ特製の惚れ薬だった。
 ここでユーリは魔導書で読んだ記述を思い出した。
 ――愛の女神ロロアの加護を授かる?ロロアの林檎?には、回復魔法が得意なロロア同様、その特性が林檎に成分として含まれている。
 ユーリは迷わず……迷わず……まよ……。
「苦労して作ったのに……でも……でも……」
 迷わず使えなかった♪
 ユーリが自分の中の善と悪と討論している間も、ジャドの体からはどんどん血が流れていた。
 ついにユーリが小瓶のフタを開けた!
「また作ればいいんでしょ!」
 投げやりな感じでユーリは惚れ薬をジャドの傷口にぶっかけた。
 果たして愛の奇跡は起こるのか!