小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
タカーシャン・ソレイユ
タカーシャン・ソレイユ
novelistID. 70952
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

720メートルの真実 ― 人生の旅

INDEX|1ページ/1ページ|

 
720メートルの真実 ― 人生の旅


1. 入口 ― 未知の重さ

720メートルのトンネル。
入口に立つと、その距離は数字では測れないほど長く感じる。

前方の闇は、出口の気配さえ飲み込んでしまう。

距離が見えないとき、人はもろくなる。
まだ一歩も踏み出していないのに、心はすでに疲れている。

「遠すぎる」
「長すぎる」

それが、人生のはじまりだ。

未来は、影に満ちた広大な空白。
不安とは、闇そのものではない。
それがどこで終わるのか、わからないことだ。

それでも、人は歩く。

恐れながら、何も見えないまま、最初の一歩を踏み出す。

人生は、見えなくなったその先から始まる。



2. 中盤 ― 希望の誕生

静寂の中に、足音が響く。
同じ壁。変わらない冷たい空気。

そのとき、
ほんの微かな点のような光が現れる。

出口だ。

距離は変わっていない。
トンネルは相変わらず冷たいまま。

それでも、心はふっと軽くなる。

希望とは、問題の解決ではない。
希望とは、ただ「出口がある」と知ること。

光があるから、
人はその道を耐え抜くことができる。

意味は、
あの小さく遠い光を見つけた瞬間に生まれる。



3. 出口 ― 今としての安堵

光が広がる。空気が変わる。
最後の区間に差しかかると、心は知る。
「もうすぐだ」と。

ここで、希望は姿を変える。
それはもはや希望ではない。安堵だ。

希望は未来に属し、
安堵は「今」に属する。

「ここまで来た」
その受容こそが、究極の平穏。

外へ出る。空が大きくひらける。
そして、トンネルを振り返る。

不思議なことに、もう長くは見えない。

歩いている最中は永遠のようで、
過ぎ去ってしまえば一瞬なのだ。



4. 外 ― 最後の真実

陽の中に立つと、空気はどこまでも広がっている。
振り返り、あの720メートルの穴を見る。

「なんだ、あれだけのことだったのか。」

若さの苦しみも、
中年の重みも
通り過ぎてしまえば、ひとつのシンプルな道に収まる。

最後の真実は、静かに語る。

トンネルは、歩き続けた者だけに終わりが訪れる。
立ち止まることは、永遠の闇を選ぶこと。

ゆっくりでいい。
震えていてもいい。

それでも、進まなければならない。

歩き続けた者だけが、
光を見る資格を手にする。