『即効と残響』
深夜2時。コンビニ。
エナジードリンクを迷わず掴む。
「これでいける」って、自分に嘘つくために。
たしかに、いける。
数時間は。
でも朝、全部リセットされる。
残るのは、疲労と、ちょっとの虚無。
あの夜ほしかったのは、
覚醒じゃない。
「もういい」って、止めてくれる誰かだった。
SNSも同じ構造だ。
強い言葉。
短い正義。
一瞬で気持ちよくなる結論。
考えなくていい投稿に、人は群がる。
考えさせる投稿は、静かに沈む。
いいねは理解じゃない。
ただの反射だ。
私たちは、
思考をショートカットして、
快感だけ回収してる。
で、また空っぽになる。
本当に効く言葉は、遅い。
読んだ瞬間は、何も起きない。
むしろ、ちょっと不快で、面倒で、重い。
だからスルーされる。
でも数日後、ふと刺さる。
無防備な瞬間に、急に効いてくる。
逃げ場のない形で。
バズは、ドーピング。
真心は、筋トレ。
どっちがラクかなんて、考えるまでもない。
だから今日も、
軽い言葉が勝つ。
私も、たぶんまた飲む。
たぶんまた、流す。
わかってる。
でもやめない。
それでも
誰にも刺さらなくてもいいから、
あとで効く言葉を置いていく。
即効性ゼロ。
拡散性ほぼゼロ。
でも、
それで誰かが一晩だけ踏みとどまれるなら、
それはバズより強い。
作品名:『即効と残響』 作家名:タカーシャン・ソレイユ



