花粉症に守られる
春になると、鼻がむずむずする。
目がかゆい。
くしゃみが止まらない。
花粉症は、つらい。
できれば無い方がいい。
しかし、ふと思うことがある。
花粉症に守られているのではないか。
くしゃみが出る。
鼻をかむ。
目薬をさす。
体は忙しい。
すると、
別のストレスが、少し遠くへ行く。
悩み、怒り、不安。
それらは頭の中で増幅するものだ。
しかし花粉症は、
体を現実に引き戻す。
目がかゆい。
鼻水が出る。
ティッシュを探す。
体の仕事が増えると、
心の仕事が減る。
不思議なことに、
人は一度にそれほど多くの苦しみを
抱えられないのかもしれない。
だから、症状はつらいのに、
どこかで心が紛れている。
人間の体は、
ときどき奇妙な方法で
心を守る。
花粉症もまた、
春の防御反応なのかもしれない。
作品名:花粉症に守られる 作家名:タカーシャン・ソレイユ



