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タカーシャン・ソレイユ
タカーシャン・ソレイユ
novelistID. 70952
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「言葉の海を渡る人」

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「言葉の海を渡る人」

古い町の小さな図書館。
そこには、まだ誰にも読まれていない無数の物語が眠っていた。

壁いっぱいの棚には、タイトルではなく言葉が貼られている。

恋愛、オリジナル、ファンタジー、短編、現代、詩。
青春、夢、家族、友情、日常、猫、結婚、創作。
愛、人生、未来、心、希望、記憶、命。

ある夜、一人の青年がそこに迷い込んだ。

彼は長い間、孤独だった。
仕事に追われ、日常に流され、
恋も、友情も、夢さえも、どこか遠くへ置き忘れていた。

棚の前に立つと、言葉が風のように揺れた。

高校生。
大学生。
出会い。
別れ。
純愛。
失恋。
夫婦。
再婚。
家族の絆。

まるで、人間の一生がそこに並んでいるようだった。

さらに奥へ進むと、別の棚が現れる。

戦争、歴史、冒険、魔法、天使、悪魔、神。
宇宙、未来、ロボット、アンドロイド、タイムスリップ。
怪奇、幽霊、妖怪、都市伝説。

青年は小さく笑った。

「人生って、ジャンル分けできないのに。」

その時、天井から無数の言葉が雪のように降ってきた。

涙。
桜。
夏。
雪。
雨。
夜。
空。
星。
海。

そして、少し重たい言葉も混じっていた。

孤独。
裏切り。
嫉妬。
絶望。
病気。
事故。
別れ。
死。

青年はしばらく立ち尽くした。

だがその中に、確かに光る言葉があった。

希望。
再会。
感動。
優しさ。
成長。
感謝。

図書館の奥から、年老いた司書が現れた。

「その言葉たちはね、全部、誰かの人生なんだよ。」

青年は尋ねた。

「じゃあ、僕の物語はどこに?」

司書は微笑んだ。

「まだ書かれていない棚さ。」

青年は振り返る。

そこには白い壁があった。

何も書かれていない。

しかし、近づくと、かすかな文字が浮かび上がった。

出会い。
旅。
挑戦。
愛。
希望。

青年は気づいた。

人生とは、
すでにある物語を読むことではなく、
言葉を選びながら書いていくことなのだと。

外に出ると、夜空には星が広がっていた。

宇宙のように無数の物語が、
今この瞬間も生まれている。

青年は歩き出した。

恋愛でもいい。
友情でもいい。
失敗でもいい。

どんな言葉でもいい。

ただ一つだけ、決めた。

最後のページには、
必ずこの言葉を書くと。

「希望」。