物思いの季節
春先に
風に舞う雪を見ると、
なぜか心がキュンとする。
冬でもない
春でもない
どこにも属さない
あの一瞬の空気。
何かを
思い出そうとしている。
でも
それが何なのか
はっきりとは思い出せない。
情緒が
わずかに揺れる。
その時、
ラジオから流れてきたのは
Yesterday。
まるで
遠い記憶が
こちらを振り向いたようだった。
春は
花の季節と言われるけれど、
本当は
人が
物思いになる季節なのかもしれない。
雪が舞い、
風が変わり、
光が少しだけ柔らかくなる。
そのたびに
人の心の奥で、
まだ名前のついていない
昨日たちが
そっと目を覚ます。
作品名:物思いの季節 作家名:タカーシャン・ソレイユ



