本音を隠す人が、最後に失う二つのもの
人は時々、思う。
「本当はそう思っていないが、
この人にはこう言っておいた方がいい」
人間関係を壊さないため。
空気を乱さないため。
面倒を避けるため。
こうして、言葉は少しずつ
本音から離れていく。
最初は小さな調整である。
しかしそれが続くと、奇妙なことが起きる。
自分が、わからなくなる。
本当はどう思っているのか。
何が好きで、何が嫌いなのか。
どこまでが本心で、どこからが演技なのか。
外に合わせ続けると、
内側の声が静かに消えていく。
そしてもう一つ、失うものがある。
それは信用である。
人は意外なほど敏感だ。
言葉と表情。
声の温度。
ほんのわずかな違和感。
「この人は本心ではない」
それを感じ取る。
嘘をついているとまでは思わない。
だが、どこか遠い人になる。
当たり障りはない。
しかし深くは信じられない。
こうして、人は
自分を見失い、
同時に信用も失っていく。
皮肉なことである。
関係を守ろうとして
関係の一番大事なものを
削ってしまうのだから。
もちろん、本音をすべて言えばいいわけではない。
人間関係はそんなに単純ではない。
ただ一つ大切なことがある。
自分だけは、自分の本音を知っていること。
言うか言わないかは自由だ。
しかし、心の中まで隠してしまってはいけない。
人の言葉に重みが生まれるのは、
本音を持っている人だからである。
本音を隠し続けると、
人は二つのものを失う。
自分と、信用である。
作品名:本音を隠す人が、最後に失う二つのもの 作家名:タカーシャン・ソレイユ



