あなたのワンクリックは、いくらで売られているのか。
スマートフォンの画面を指で軽く触れる。
ほんの一瞬の動き。
力もいらない。
考える時間もいらない。
しかし、ふと考える。
このワンクリックには、いったいどれほどの価値があるのだろう。
一円くらいだろうか。
それとも、ほとんど価値のないものだろうか。
だが、世の中の仕組みを少しだけ覗いてみると、
その小さな動きは決して軽いものではない。
企業は人々のクリック数を数え、
広告を売り、
商品を広め、
利益を生み出している。
つまり、
私たちが何気なく押す一回のクリックは、
どこかで確実に経済の歯車を回している。
だからワンクリックは、
一円どころではないかもしれない。
十円かもしれない。
百円以上の価値を生むことさえある。
しかし、本当の価値はお金ではない。
クリックする瞬間、
人はほんの少しだけ
自分の注意と時間を差し出している。
それは、命の一部と言ってもいい。
人の人生は
時間でできている。
そしてクリックとは、
その時間を一瞬だけ
どこかへ渡す行為なのだ。
さらに言えば、
クリックは投票でもある。
どの記事が広まり、
どの言葉が強くなり、
どの人が有名になるのか。
それはすべて、
無数のワンクリックの積み重ねで決まっていく。
静かな指先の動きが、
社会の流れを変えている。
だからこそ、
私たちはもう少しだけ考えてみてもいい。
この一回のクリックを、
どこへ向けるのか。
なぜならその小さな動きは、
気づかぬうちに
世界の方向をほんの少しだけ動かしているのだから。
作品名:あなたのワンクリックは、いくらで売られているのか。 作家名:タカーシャン・ソレイユ



