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タカーシャン・ソレイユ
タカーシャン・ソレイユ
novelistID. 70952
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720メートル歩いて気づいた、人生の構造

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一、入口 ― 不安の哲学

720メートルの歩道トンネル。
入口に立った瞬間、
その距離は数字以上に長く感じる。

先は暗い。
出口は見えない。

人は、見えない距離に弱い。

まだ一歩も歩いていないのに、
心だけが疲れる。

「遠いな」
「長いな」

その感覚は、
人生の始まりに似ている。

若い頃、
未来は広大すぎて、
どこへ向かうのか分からない。

不安とは、
暗闇そのものではない。

終わりが見えないことだ。

しかし不思議なことに、
人は歩き始める。

怖くても、
見えなくても、
とりあえず一歩出す。

人生も同じだ。

結局、人は
見えない道を歩きながら生きる生き物なのだ。



二、中間 ― 希望の構造

しばらく歩く。
足音がコツコツと響く。

同じ景色、
同じ壁、
同じ光。

だが、ある瞬間、
遠くに小さな点が現れる。

出口の光だ。

まだ遠い。
しかし確実に存在する。

そのとき、
人の心に不思議な変化が起こる。

距離は変わらない。
トンネルも同じ。

それなのに、
心は軽くなる。

なぜか。

光があると、人は歩ける。

希望とは、
問題が解決した状態ではない。

ただ
出口があると分かることだ。

人は、
希望によって前進する。

そして人生もまた、
小さな光を見つけた瞬間から
意味を持ち始める。



三、出口 ― 安堵という到達

歩き続ける。

光は少しずつ大きくなる。
外の空気が近づいてくる。

そして最後の数十メートル。

心はもう知っている。

「もう抜ける」

その瞬間、
心の中に広がる感情は
希望ではない。

安堵だ。

希望は未来の感情。
安堵は現在の感情。

人はようやく
「ここまで来た」と
今を受け取る。

外に出ると、
空が広がっている。

振り返ると、
さっきまで歩いていたトンネルがある。

不思議なことに、
もう長く見えない。

人生も同じだ。

歩いているときは長い。
抜けたあとには短い。

720メートルのトンネルは、
静かに教えてくれる。

人生とは

不安から始まり
希望で進み
安堵で終わる旅なのだと。


四、外 ― 人生の真実

トンネルを抜けた。

光の中に出ると、
空気が少し違う。
音も、広がり方が違う。

人は思わず振り返る。

さっきまで歩いていた
720メートルのトンネル。

不思議なことに、
あれほど長く感じた道が、
今はただの一本の通路に見える。

「こんなものだったのか」

歩いているときは、
果てしなく長かった。
不安もあった。
遠さも感じた。

しかし、抜けてしまうと、
その距離は急に小さくなる。

人生も同じだ。

若い頃の悩み、
中年の葛藤、
長いと思っていた年月。

振り返ると、
すべてが一本の道になる。

そして、もう一つ
大切なことに気づく。

トンネルは
歩かなければ終わらない。

立ち止まれば、
暗闇の中にいる時間が
ただ長くなるだけだ。

だから人は、
ゆっくりでもいいから
歩き続けるしかない。

歩く。
ただ歩く。

それだけで、
いつか必ず光に出る。

720メートルのトンネルは、
静かに教えてくれた。

人生の真実は
特別なことではない。

歩き続けた人だけが
出口を見る。