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タカーシャン
タカーシャン
novelistID. 70952
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両手にある不思議

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両手にある不思議

手相のことは、正直よく知らない。
占いに通ったこともないし、
本を読み込んだこともない。

だがある日、ふと気づいた。

両手に、
いわゆる「ラッキーM線」と
「神秘十字線」があるらしい。

らしい、というのは
自分で発見したわけではなく、
人に言われて初めて知ったからだ。

鏡に映した手のひらを見る。

確かに、Mのような線。
確かに、十字のような線。

だがそれが何を意味するのか、
私は知らない。

それでも、
不思議だと思う。



私は特別な人生を歩んだわけではない。

若い頃は荒れた。
怒りもあった。
遠回りもした。

それでも働き続け、
家庭を持ち、
人を育てる立場にもなった。

振り返れば、
何度も崖のような場面はあったが、
なぜか落ちなかった。

守られていたのか。
偶然か。
ただの思い込みか。

わからない。



両手にある、ということ。

それは
「生まれつき」と「生き方」の両方を
暗示しているのだと誰かが言った。

もしそうなら――

線が運命をつくったのではなく、
生き方が線になったのではないか。

怒った分だけ、線が刻まれ。
踏ん張った分だけ、線が濃くなり。
問い続けた分だけ、十字が浮かんだ。

そう思うと、
手のひらは未来ではなく、履歴書だ。



私は今、
存在とは何かを考えている。

実体なのか、流れなのか。

触れられるものだけが現実なのか。
見えないものこそ本質なのか。

神秘十字線という名前があるなら、
それはきっと
問いをやめるな、という印だろう。

M線という名前があるなら、
それはきっと
動くことをやめるな、という印だろう。



私は手相を知らない。
信じているわけでもない。

だが、両手にあるという事実は、
なぜか静かに響く。

これは幸運の証なのか。
それとも責任の印なのか。

わからない。

ただ一つ言えるのは、

この手で
誰かを支え、
誰かを励まし、
誰かの背中を押してきた。

そしてこれからも
押していくのだろう。

線の意味は知らない。

だが、
この手の意味なら知っている。

それは、

生きてきた証であり、
これからも生きる覚悟である。
作品名:両手にある不思議 作家名:タカーシャン