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タカーシャン
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novelistID. 70952
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歪んだ「勝利」の肖像 ―― 多数派が飲む「苦い薬」

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歪んだ「勝利」の肖像 ―― 多数派が飲む「苦い薬」

二〇二六年二月八日、衆院選の結果が確定した瞬間、日本経済を覆う霧はさらに濃くなった。自民党が単独で定数の三分の二を超える三百十六議席を獲得するという「歴史的大勝」。しかし、この数字を額面通りに「民意の反映」と受け取るには、あまりに多くの矛盾とリスクが露呈している。

第一の懸念は、高市政権が掲げる「責任ある積極財政」のアクセルが底まで踏み込まれることだ。市場は即座に反応した。日経平均株価が一時六万円を視野に急騰する一方で、通貨の信認は揺らいでいる。 国債増発による財政拡張は、市場に「円」を溢れさせ、一ドル百六十円を超える円安を定着させつつある。エネルギーや食料を海外に依存する我々にとって、これは「国を挙げたコスト増」を意味する。政府がばらまく給付金は、皮肉にも輸入物価を押し上げる燃料となり、庶民の生活は「インフレ」という終わりのない坂道を登らされることになる。

第二に、膨らみ続ける「国の借金」のリスクだ。積極財政により債務残高対GDP比は過去最悪を更新し続ける。金利上昇圧力がかかれば、膨大な利払い費が社会保障を食いつぶし、住宅ローンに苦しむ現役世代を直撃する。これが「成長への投資」という美名の下で行われている暴挙である。

そして最も深刻なのは、この国のかたちが「少数派による支配」に変質したことである。 今回の選挙で自民党が得た絶対得票率は三割にも満たない。残りの七割近い有権者は、白票を投じるか、分散した野党に託すか、あるいは沈黙を選んだ。それにもかかわらず、小選挙区制という「死票の装置」は、反対派の声をゴミ箱に捨て、特定の支持層の声だけを三倍に増幅して議席に変換した。
国民の六割が抱く経済不安は、三百十六という議席の壁に跳ね返され、もはやブレーキとしての機能を失った。

三分の二という議席は、衆院での再可決や憲法改正の発議をも可能にする「魔法の杖」である。しかし、民意との乖離を無視して振るわれる杖は、時に持ち主をも打ちのめす。 株価の乱舞の裏で、円の価値が溶け、家計が沈んでいく。この「勝利」がもたらす果実が、後世に「経済危機の引き金」と呼ばれない保証はどこにもない。我々は今、かつてないほど「数の暴力」と向き合う覚悟を問われている。