小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
タカーシャン
タカーシャン
novelistID. 70952
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

震災世代という静かな必然

INDEX|1ページ/1ページ|

 
震災世代という静かな必然

2011年の
東日本大震災から、十五年という時間が流れた。

十五年。
それは、幼い子どもが大人になる時間であり、
高校生が社会の中核に立ち始める時間である。

あのとき、瓦礫の町を歩いた子どもたちは、
いま静かに社会に出ている。

不思議なことに、
被災地から、日本の未来に影響を与えそうな人材が、
次々と現れている。

これは偶然だろうか。
それとも、歴史の深い必然なのだろうか。



大きな崩壊は、
人から「幻想」を奪う。

永遠だと思っていた日常。
守られているという感覚。
明日も同じ朝が来るという前提。

それらが崩れたとき、
人は世界を根本から見直す。

早く成功することよりも、
確実に生きることを考える。

派手に勝つことよりも、
誰かと支え合うことを選ぶ。

被災地の子どもたちは、
その価値観の転換を、机上ではなく体験で知った。



痛みは、人を二つの方向へ導く。

閉じるか、
深くなるか。

東北の多くの若者は、
痛みを抱えながらも、
内側を深く耕したのではないか。

深く耕された土壌には、
軽い種は根づかない。

残るのは、
本質だけだ。



十五年という歳月は、
記憶が風化するには短く、
人格が形成されるには十分な時間である。

あの日の記憶は、
彼らの奥底に沈み、
無意識の羅針盤になっている。

だからこそ、
表層的な成功よりも、
社会の構造そのものを見つめる人が出てくる。

それは声高な革命ではない。

静かな再設計である。



歴史を振り返れば、
大きな災厄のあとには、
必ず価値観の更新が起きている。

崩壊は、
次の時代の土台をむき出しにする。

そこに立つのは、
崩壊を知っている世代だ。

彼らは、
強いというより、覚めている。

楽観的というより、現実的である。

そして何より、
「失う」ことを知っている。

失うことを知る者は、
持つことに執着しない。



被災地から現れる人材の増加は、
奇跡ではない。

痛みが深いほど、
問いも深くなる。

問いが深いほど、
行動は静かに、しかし確実に変わる。

これは只事ではない。

だが騒ぐことでもない。

地中で水脈が流れを変えるように、
日本の未来の基盤が、
静かに組み替えられているのかもしれない。

十五年は、通過点である。

本当の影響は、
これから現れる。