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タカーシャン
タカーシャン
novelistID. 70952
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民意はない

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衆議院選挙ほど、国家権力が一斉に動く選挙はない。
首相の座、内閣の存続、官僚機構の力学、予算の行方。
一票一票の背後で、巨大な利害と権限がうごめく。

建前では「民意を問う選挙」である。
だが現実はどうか。
選挙戦が始まると、国民生活の具体は抽象論に包まれ、
責任の所在は巧みにぼかされる。
争点は管理され、触れてはならない問題は最初から外される。

結果として、選挙は
国民の意思を反映する場というより、
既存の権力を再配分し、正当化する儀式に近づいてはいないか。

国民は投票する。
しかし選択肢は限られ、
選んだ後の政治過程にはほとんど関与できない。
選挙が終わった瞬間から、
政治は再び「専門家」と「内輪」のものになる。

だから多くの有権者が、
選挙の重要性を理解しながらも、
どこか空虚さを拭えない。
自分たちの暮らしは語られたのか、
自分たちの声は届いたのか――
その確信を持てないまま、結果だけが示される。

衆議院選挙は、民主主義の頂点であるはずだ。
同時に、民主主義が形式に堕していないかを映す
最も残酷な鏡でもある。
国民そっちのけの政治が常態化したとき、
選挙は「希望」ではなく
「諦観」を量産する装置になってしまう。

問われているのは、
誰が勝つかではない。
この選挙が、本当に国民のために行われているのか、
その一点である。
作品名:民意はない 作家名:タカーシャン