ファーストクラス社会の現実
2008年末、日比谷公園に出現した「派遣村」は、日本に存在していた身分格差を一気に可視化した出来事だった。あれから10年以上が過ぎ、非正規雇用の拡大と中間層の縮小により、日本は「格差社会」を超え、「階級社会」へと移行したと言われている。
この違いは、飛行機にたとえるとわかりやすい。格差社会とは、同じ機体に乗り、座席は違えども、努力や運によってエコノミーからビジネス、ビジネスからファーストクラスへと移動できる可能性が残されている社会だった。しかし階級社会では、ファーストクラスは最初から特定の人のために用意され、アップグレードの案内は届かない。親がファーストクラスなら子も自然とそこに座り、学歴、職業、資産が連動して再生産される。
一方、注目されるのが「アンダークラス」である。早稲田大学の橋本健二氏によれば、その数は900万人を超える。彼らは不安定な雇用を転々とし、貯蓄も乏しく、病気や景気変動で一気に生活が崩れる立場に置かれている。飛行機で言えば、座席すら保証されない補助席に座らされ、乱気流の影響を真っ先に受ける存在だ。
派遣村が示したのは、一時的な貧困ではない。同じ飛行機に乗っているという前提そのものが崩れている現実だった。努力を語る前に、席があるかどうかが問われる社会。日本は今、その問いから目をそらせなくなっている。
作品名:ファーストクラス社会の現実 作家名:タカーシャン



