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タカーシャン
タカーシャン
novelistID. 70952
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速さが奪ったもの

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速さが奪ったもの

物流時代が本格的に到来した。
それは単に物が早く届くようになったという話ではない。
物の流れが、人々の時間の流れを超えてしまった時代である。

かつて時間は、人が運んでいた。
歩き、待ち、会い、季節に身を委ねて生きていた。
待つことは不便ではなく、関係や信頼を育てる時間だった。

しかし今、物は人を待たない。
翌日、当日、即時。
眠らず、疲れず、人間より先に到着する。
一方で、人の一日は昔と変わらず二十四時間しかない。

この「速さ」は、やがて心の領域に入り込んだ。
届くことを待つという行為は、本来、恋愛とよく似ている。
相手を信じ、時間をかけ、思いを育てる。
だが今は、既読、即返、即判断。
少しの沈黙が不安に変わる。

恋愛もまた、効率の論理にさらされている。
合わなければ切る。
面倒になれば捨てる。
感情はポイ捨てされ、次へ次へとリサイクルされていく。
本来、時間を要するはずの関係が、消耗品のように扱われている。

そして家族とは、さらに異なる存在だ。
家族とは本来、
生涯、信じて待てる存在である。
すぐに答えが返らなくても、
距離が生まれても、裏切られても、
それでも待つという覚悟の上に成り立っている。

物流の進化は否定されるべきではない。
だが、速さを正義とする社会の中で、
人間の時間まで急がせていないだろうか。

どれほど物が早く届いても、
人の関係は早送りできない。
物流時代とは、
効率を競う時代ではなく、
人の時間をどう守るかが問われる時代なのである。
作品名:速さが奪ったもの 作家名:タカーシャン