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タカーシャン
タカーシャン
novelistID. 70952
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金と権力、その先にあるもの

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金と権力、その先にあるもの

犯罪の背景をたどると、金が深く関わっている例が多い。金が生存や尊厳、安心と結びつきすぎた社会では、人は追い詰められ、過ちに傾きやすくなる。これは個人の問題であると同時に、社会の構造の問題でもある。

そして、ここにもう一つの要素が加わると、話は個人の犯罪から国家の行為へと姿を変える。それが「権力」だ。
金に権力が結びついたとき、政治は一気に別の顔を持ち始める。

政治の世界では、金は利害を動かす燃料となり、権力は決定を押し通す力となる。そこに恐怖や対立の物語が重ねられると、社会は外に敵を求め始める。内側の不満や矛盾を、外部との衝突で覆い隠そうとするからだ。その延長線上に、戦争がある。

戦争は突然始まるものではない。金と権力が静かに結びつき、正義や安全という言葉をまといながら、少しずつ傾いていく。その傾きに気づいたときには、もう後戻りが難しくなっていることが多い。

私たちは今、その入口に立っているのではないか。世界各地で軍事と経済が強く結びつき、対話よりも力が語られ始めている。これは遠い国の話ではない。生活の不安、分断、怒りが積み重なった先に、政治が危うい方向へ引き寄せられていく構図は、どこにでも生まれ得る。

犯罪も戦争も、根にあるのは同じだ。金が人の尊厳や生存を支配し、そこに権力が加わったとき、社会は暴力を正当化しやすくなる。だからこそ問われているのは、誰が悪いかではなく、どんな構造を許してきたのか、である。

危機とは、音を立てて迫るものではない。静かに、もっともらしい顔をして、私たちの日常の中に入り込んでくる。今は、その静けさにこそ耳を澄ますべき時なのかもしれない。