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タカーシャン
タカーシャン
novelistID. 70952
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寒紅の意志

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寒紅の意志

 暦の上では大寒を過ぎ、一年で最も風の冷たい季節が続いている。街ゆく人々が厚手のコートに身を包み、足早に家路を急ぐなか、驚くほど軽やかな装いで闊歩(かっぽ)する一団がある。冬の街の風物詩とも言える、生足の女子高生たちだ。

 大人の目には、それは危うい「無謀」に見えるかもしれない。しかし、単なる流行を超えた、ある種の「透徹した強さ」が浮かび上がってくる。

 かつて江戸の町人たちは、真冬に薄物を羽織り「粋(いき)」を競ったという。寒さを顔に出さず、己の美意識を貫くことを尊ぶ「痩せ我慢の美学」。その精神の系譜は、現代の教室から街角へと、形を変えて受け継がれているのではないか。

 彼女たちにとって、タイツという防寒具を選ばないのは、決して寒さを知らないからではない。生理的な苦痛よりも、己の信じる「あるべき姿」が損なわれることの方を、より強く厭(いと)うているのだ。周囲の喧騒や、自然の猛威に屈することなく、自分らしくあろうとする。それは、自らのアイデンティティをかけた、静かなる闘いとも言える。

 最近では、素肌に見える加工を施した厚手のタイツも普及しているという。伝統的な根性論に、現代の技術を巧みに忍ばせる。そのしなやかな知恵もまた、日本女性が歴史の中で培ってきた生き抜く力の一片だろう。

 寒風にさらされた膝に、かすかに赤みが差す。その色は、凍てつく冬の景色に差す一筋の熱のようにも見える。凛として立つ彼女たちの背中に、我々は「装うこと」に宿る揺るぎない覚悟を見ているのかもしれない。
作品名:寒紅の意志 作家名:タカーシャン