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タカーシャン
タカーシャン
novelistID. 70952
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終わらない恋

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終わらない恋

恋愛最盛期という言葉があるとすれば、それは年齢ではなく、心が最も無防備で、最も遠慮なく人を求めていた時代のことだろう。
その頃、人は何度も出会い、別れ、時に思いがけない再会を経験する。関係は終わったはずなのに、心の中では終わっていない人がいる。不思議だが、多くの人がそれを抱えたまま生きている。

なぜ終わらないのか。
それは相手に未練があるから、とは限らない。むしろ、その恋の中で生きていた自分自身が、心の奥に刻まれているからだと思う。誰かを本気で想い、失うことを恐れ、期待し、傷つき、それでも前に進もうとした自分。その姿が、時間の中で凍結され、消えずに残っている。

音楽は、その記憶を一瞬で解凍する。
当時よく聴いていた曲が流れただけで、理由もなく胸が締めつけられることがある。季節も同じだ。春の匂い、夏の夕暮れ、秋の風、冬の静けさ。それらは理屈を飛び越え、感情だけを正確に呼び戻す。思い出されるのは相手の顔よりも、あの頃の空気と、確かに生きていた心の温度だ。

終わらない恋とは、未練ではない。
それは人生の中にできた一つの層であり、削るものではなく、重ねて生きていくものだ。命ある限り、その層は消えないし、消す必要もない。

その頃に刻まれたのは、「自分は、こんなにも誰かを想えた存在だった」という事実である。それは人を弱くする記憶ではなく、人を人間として保つための証明だ。

終わらない恋を抱えているということは、心が一度も空白にならなかったということ。
それは、静かで確かな、生の痕跡なのである。
作品名:終わらない恋 作家名:タカーシャン