変わらない日本の指標――印鑑文化
巨大な制度や政治よりも、
もっと小さく、身近で、象徴的なものに行き着く。
それが「印鑑文化」だ。
世界が電子署名で一瞬の合意を交わす中、
日本ではいまだに
「判子がないと進まない」
「上司の印が揃わないと止まる」
という時間が流れている。
印鑑は本来、責任の証だった。
しかし今は、
責任の所在を曖昧にするための儀式
になってはいないだろうか。
誰も決めない。
誰も責任を持たない。
ただ、順番に印を押していく。
そこにあるのは合意ではなく、
「前例」と「空気」だ。
印鑑文化が象徴しているのは、
アナログかデジタルかの問題ではない。
それは
意思より形式を優先する国の気質
そのものなのだ。
だから印鑑が残る限り、
意思決定は遅れ、
挑戦は敬遠され、
責任は分散され続ける。
印鑑を廃止することが改革なのではない。
自分の名前で決める覚悟を取り戻すこと。
それができたとき、
印鑑は自然と不要になる。
変わらない日本の指標は、
今日も静かに、
朱肉の上に置かれている。
作品名:変わらない日本の指標――印鑑文化 作家名:タカーシャン



