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タカーシャン
タカーシャン
novelistID. 70952
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自分を壊さずに老いていくということ

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自分を壊さずに老いていくということ

私は、会議が苦手だ。
正確に言えば、結論の見えない会議、無駄を積み重ねる打ち合わせが耐えられない。

話が回り、資料が配られ、誰もが「やっている感」をまとって安心する。
その一方で、私はいつも先の先を見てしまう。
ここを試せば答えが出る。
ここを削れば無駄が消える。
そう思った瞬間に、もう次へ行っている。

だから理解されない。
極端だと言われる。
説明が足りないと言われる。
それでも結果だけは、あとから追いついてくる。

「言ってた通りになったな」

その一言が、私の立ち位置をすべて物語っている。



私は勉強ができた人間ではない。
子どもの頃から机に向かうことができなかった。
本も資料も、ほとんど読まない。
耳から入ったこと、体で掴んだことだけが、私の血肉になった。

だからこそ、腑に落ちない行動はできない。
理解も納得もない努力は、私を壊す。

営業時代、私は一点しか見なかった。
製品の「いちばん強いところ」だけを掴み、そこだけを試した。
結果が出れば採用になる。
それで十分だった。

全部やる必要など、なかった。

しかし組織に入ると、そのやり方は異端になる。
網羅しろ、整えろ、説明しろ、合意を取れ。
気づけば行動は増え、成果は薄まり、誰も責任を取らない。

私は無駄が嫌いだ。
それは性格ではない。
生き残るための感覚だ。



年を重ねて、はっきりわかったことがある。

私は「丸くなる」タイプではない。
丸くなろうとした瞬間、自分が削れていく。

老いとは、能力が落ちることではなかった。
どうでもいいことが、できなくなることだった。

戦う場所を選び、
説明を減らし、
関わる人数を絞る。

そのかわり、残った一点に、深く沈む。

若さはスピードで勝つ。
老いは深さで勝つ。

そう割り切ったとき、私はようやく静かになれた。



孤独は怖くない。
理解されない時間のほうが、思考は澄む。

誰にでも届かなくていい。
一人に刺されば、それでいい。

私はもう、自分を証明し続ける年齢ではない。
結果はすでに出ている。
これからは、在り方だけが残る。

老いとは、
自分を小さくすることではない。

削るべきは世界であって、
自分ではない。