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タカーシャン
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novelistID. 70952
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いい話をしようとしない生き方

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いい話をしようとしない生き方

人はいつからだろう。
「いい話」をしようとするようになったのは。

会話の最後には結論を置き、
出来事には意味を与え、
失敗には教訓をつけて、
どこかで話を“回収”しようとする。

そうしないと、
未熟だと思われる気がして、
考えが浅いと見られる気がして、
何より、自分自身が不安になるからだ。

けれど、人生のほとんどは
そんなに都合よく整理されていない。

嬉しかったのか、悲しかったのか、
怒っているのか、諦めているのか、
自分でもよく分からない感情のまま
一日が終わる夜の方が圧倒的に多い。

それを無理に言葉にし、
無理に意味づけし、
無理に「いい話」に仕立てると、
どこかで自分を裏切ることになる。



いい話をしようとしない人は、
分からないことを分からないまま抱えている。

黙ることを恐れず、
途中で終わった感情を放置し、
答えの出ない問いと一緒に歩く。

それは怠慢ではなく、
誠実さだと思う。

人生を軽々しくまとめないという、
ひとつの覚悟だからだ。



「いい話」は整っている。
けれど真実は、たいてい整っていない。

涙の理由が説明できない夜。
後悔なのか怒りなのか分からない朝。
あの時の選択が正しかったのか、
今でも分からないままの記憶。

それらを「経験値」や「糧」という言葉で
簡単に包んでしまうと、
大事な何かが削ぎ落とされる。

生きるということは、
そんな未整理の感情を
抱え続けることなのかもしれない。



いい話をしようとしない生き方は、
人を感動させようとしない。
立派に見せようともしない。

その代わり、
自分にだけは嘘をつかない。

だから言葉は少なくても、
その人の佇まいが語ってしまう。
生き方そのものが、にじみ出てしまう。

不思議なことに、
本当に心に残る言葉は、
たいてい「いい話」を
しようとしていない人から生まれる。

狙っていないからこそ、
飾っていないからこそ、
その言葉は、まっすぐ届く。

いい話をしようとしない生き方。
それは、静かで、不器用で、
けれど、とても強い生き方だと思う。