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タカーシャン
タカーシャン
novelistID. 70952
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エネルギーの歴史は、人類が自分を拡張してきた歴史である

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エネルギーの歴史は、人類が自分を拡張してきた歴史である

「エネルギーの歴史は、そのまま人類の文明史である」
これは誇張ではない。むしろ、控えめな表現かもしれない。

人類は、道具を作って進化したのではない。
エネルギーを手に入れるたびに、自分自身を作り替えてきたのだ。

最初の革命は、火だった。

火は単なる暖房や調理の道具ではない。
それは、人類が初めて「自分の身体の外側に力を持った瞬間」である。

火によって食物は柔らかくなり、消化器官は小さくなった。
その余剰エネルギーは脳へと回され、思考が育った。
夜を恐れず、寒さを越え、外敵を退ける力を得たとき、
人類は「生き物」から「考える存在」へと一歩踏み出した。

次に訪れたのは、農耕という静かな革命だった。

太陽エネルギーを植物に蓄え、それを計画的に収穫する。
さらに人は、自分の筋肉だけでなく、牛や馬の力を使い始めた。
人類はここで初めて「他者の身体」を自分のエネルギーとして使った。

食料は余り、余剰は富になり、富は権力を生んだ。
定住は国家を生み、同時に階級と格差を生んだ。
エネルギーの安定は、社会の安定と不安定を同時に生み出したのである。

18世紀、石炭と蒸気機関は、世界の速度を変えた。

それまで人類は、生き物の力と自然のリズムの中で動いていた。
しかし蒸気機関は違った。
そこには疲労も休息も必要なかった。

動力は、生命から切り離された。

機械は昼夜を問わず働き、人々は農村を離れ、都市へ流れた。
大量生産は便利さをもたらしたが、人間は部品のようにも扱われ始めた。
エネルギーの集中は、文明の集中と管理を生んだ。

20世紀、石油と電力は、文明を爆発させた。

液体で運べる石油、スイッチひとつで使える電力。
それは空間の制約を消し去った。
人は短時間で地球を横断し、夜を昼のように使い、
生活は驚くほど効率化された。

家電は家事を減らし、プラスチックは生活を軽くした。
人類は「生きるための時間」から解放され、
教育や娯楽、情報の世界へと向かった。

だが、その代償として、地球そのものが疲弊し始めた。

今、私たちは新たな転換点に立っている。

化石燃料に頼りすぎた結果としての気候変動。
その現実を前に、太陽光、風力、水素といった
「取りすぎないエネルギー」への移行が始まっている。

これは単なる技術転換ではない。
文明の姿勢そのものが問われている。

エネルギーは、便利になればなるほど集中し、
集中すればするほど、社会は巨大化し、複雑化する。
そして今、人類は初めて「量」ではなく
「どう使うか」「どこまでで止めるか」を問われている。

エネルギーの歴史とは、
人類がどこまで自分を拡張し、
どこで踏みとどまれるかを試され続ける物語なのだ。

文明は、力によって進んできた。
これから先は、節度によって成熟できるかが問われている。

それが、次のエネルギー革命の本質なのかもしれない。