人生という美術品
人生は、美術品のようなものだ。
完成した瞬間に評価されるものではない。
生きている今は、
まだ展示されていない制作途中の時間。
世間が見ているのは表面だけだ。
肩書き、数字、立場、声の大きさ。
それらは絵の額縁や照明にすぎない。
本当の価値は、内側にある。
どう生きたか。
何を守り、何を手放し、
どんな痛みに耐え、
誰を人として扱い続けたか。
内面は、すぐには輝かない。
むしろ時間に埋もれ、
理解されず、
評価もされない。
だが、時間だけは嘘をつかない。
何十年、何百年という時を経て、
時代の雑音が消えたとき、
流行も権力も色あせたとき、
なお残るものだけが、
静かに光を放つ。
人生の真価は、現在にはない。
現在は表面であり、
評価は未来に委ねられている。
だから急がなくていい。
比べなくていい。
売り込まなくていい。
人生は展示会ではない。
時間という美術館に預ける、
たった一つの作品なのだから。



