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タカーシャン
タカーシャン
novelistID. 70952
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咳き込みながら出勤する国

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咳き込みながら出勤する国

朝の通勤風景に、咳き込む人の姿は珍しくない。
マスク越しの咳に、誰も足を止めない。
それが日常になっている。

体調不良で出勤することは、いつから当たり前になったのか。
本来、休養は労働の一部であり、
回復なくして生産性は成り立たない。
それでも多くの人が、体調より職場を優先する。

理由は明確だ。
一人が抜けると業務が回らない職場構造、
代替の利かない人員配置、
休むことで評価が下がるという無言の了解。
制度の不備を、個人の責任感で補っているにすぎない。

企業は「無理をさせていない」と言う。
だが、休めない空気を作っているのは誰か。
出勤した人を評価し、
休んだ人を静かに不利に扱う慣行が、
結果として無理を生んでいる。

体調不良を押して働くことは、
短期的には現場を支えるかもしれない。
しかし長期的には、医療費の増加、
離職、メンタル不調として社会に跳ね返る。
見えないコストは、確実に積み上がっている。

咳は怠慢の印ではない。
それは体が発する警告であり、
制度が人間に合っていないことを示す指標でもある。
それを無視する社会は、
自らの持続可能性を削っている。

問われるべきは個人の覚悟ではない。
休んでも回る設計がなされているか、
体調不良を理由に排除されないか。
そこに、この国の成熟度が表れる。

咳き込みながら出勤する風景を、
いつまで「仕方ない」と見過ごすのか。
それは労働の問題であると同時に、
社会の品格の問題でもある。