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タカーシャン
タカーシャン
novelistID. 70952
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緊張したまま一生を終える社会

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緊張したまま一生を終える社会

気づけば、人は緊張したまま一生を終える時代に入っている。
事件が起きているわけでもない。
命の危険が迫っているわけでもない。
それでも、体は緩まず、心は常に構えている。

この緊張は一時的なストレスではない。
社会に存在しているだけで生じる、慢性的な緊張だ。

何者であるか。
役に立っているか。
間違っていないか。
遅れていないか。

問いは発せられていない。
しかし空気のように漂い、無意識のうちに人を縛る。

本来、社会とは緊張を分散するための仕組みだった。
役割を分け、弱さを補い合い、
個人の不完全さを前提に成立する共同体だったはずだ。

だがいつの間にか社会は、
正解を急がせ、比較を強め、
失敗の責任を個人に集約する装置へと変質した。

その結果、人は
「行動」ではなく「存在」そのものを評価されるようになった。

何かをしていない自分は許されるのか。
立ち止まっている自分は価値があるのか。
休んでいる自分は怠け者ではないのか。

この問いが、言葉になる前から心に貼りついている。
だから休んでも疲れが取れない。
笑っていても、どこかで身構えている。

人は失敗を恐れているのではない。
存在を否定されることを恐れている。

ここに、現代の根本的な迷いがある。

「私は、理由がなくてもここにいていいのか」

この問いに、社会が明確な「YES」を返せなくなった。
だから人は目的を探し、意味を背負い、
役割を着込みすぎて身動きが取れなくなる。

緊張とは、防衛反応だ。
攻撃される前に身を固めるための、生き物としての知恵だ。
だが攻撃が終わらない環境では、防衛は生存を蝕む。

出口は、劇的な解決ではない。
緊張を完全になくすことでもない。

説明しなくていい時間。
役に立たなくていい瞬間。
何者でもない自分が、そのまま許される余白。

それを、生活の中に小さく取り戻すことだ。

社会が変わる前に、
人はまず「緊張しなくていい自分」を思い出さなければならない。

緊張したまま終わる人生ではなく、
一瞬でも力を抜けた記憶を持った人生であるために。