昭和はやばいがおもしろい
街を歩いていても、SNSを眺めていても、どこか「昭和っぽさ」を感じるファッションが増えている。
色は派手で、柄は大胆、肩パッドやベルボトムといった極端なシルエット——。
一見すると古くさいはずなのに、今の若者にとっては新鮮で、むしろ「クール」に映る。
2025年は「昭和100年」。
節目の年だからではない。昭和の魅力は、単なる懐古では説明できない。
まず昭和の「やばさ」だ。
安全や効率よりも根性や勢いが優先され、無茶も暴力も差別も、今ならありえないようなことが日常にあった。
だからこそ昭和は、危険で無秩序な時代だった。しかし、この制御されない「やばさ」こそが、人間がむき出しで生きていた証でもある。
一方で昭和は、「おもしろい」。
正解もマニュアルも整っていないから、偶然も発明も衝突も多く、その中から文化や笑い、熱狂が生まれた。
テレビや音楽、ファッション、街並み——今から見ると情報量が多すぎて圧倒されるが、それは「洗練されていない」のではなく「削られていない」からだ。
だからZ世代にとって昭和は、懐かしい過去ではなく、未知のエキゾチズムとして映る。
さらに、現代社会との対比も昭和の魅力を際立たせる。
スマホで完結する便利な世界に少し疲れた層は、重みのある素材、手仕事の跡、古着屋で一点ものを探す行為——効率では得られない「物語」を求める。
不透明な社会に生きる現代人は、昭和の「右肩上がりの力強さ」や「これから良くなる時代感」に、無意識に安心を感じるのだ。
海外トレンドも後押しする。
Y2Kや90年代のスタイルが一巡したあと、70〜80年代のディスコやシティポップ的装いが世界的に注目され、昭和の服は現代の機能的な服と合わせることで、逆説的に「一番新しいスタイル」に見える。
昭和はやばいがおもしろい——。
危険で無秩序、しかし熱量に満ちた時代。
その「やばさ」と「面白さ」が同居していたからこそ、文化も感情も、今よりずっと濃密だった。
過去のエネルギーを借り、今を生きるために振り返る——昭和ファッションの再評価は、そんな人間の本質を映す鏡でもある。
作品名:昭和はやばいがおもしろい 作家名:タカーシャン



