小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
タカーシャン
タカーシャン
novelistID. 70952
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

未完成で、踊れ。

INDEX|1ページ/1ページ|

 
未完成で、踊れ。

『グリース』が輝いていたのは、
不良がカッコよかったからではない。
歌がうまかったからでも、
恋が成就したからでもない。

あの映画には、
「若さは、それだけで騒いでいい」
という許可があった。

令和には、その許可がない。

間違えるな、失敗するな、
叩かれるな、記録されるな。
若者は静かで、礼儀正しく、
でも内側では常に緊張している。

叫ばない代わりに、
イヤホンを深く差し込む。
踊らない代わりに、
画面をスクロールする。

令和の若者は大人しいのではない。
出してはいけない空気に慣れすぎただけだ。



グリースの世界では、
校舎も車も恋も、
すべてが舞台だった。

令和の舞台は、
コンビニの駐車場であり、
取り壊し前の空き地であり、
誰にも撮られない夜だ。

拍手はない。
バズりもしない。
それでも、
身体だけは嘘をつかない。

揃わない動き、
ぎこちないステップ、
意味不明なリズム。

それでいい。
それこそが、生きている証拠だからだ。



令和の青春には、
明確なゴールがない。

付き合うのか、
夢を持つのか、
成功するのか。

わからないまま、
隣に座っている。
好きとも言わず、
離れもしない。

不安定で、
不完全で、
それでも温度はある。

グリースが教えてくれたのは、
「カッコよく生きろ」ではない。

「未完成のままでも、踊れ」
ということだった。



もし令和にグリースが生まれるなら、
それは大音量でも、
派手なフィナーレでもない。

夜明け前、
誰もいない場所で、
スピーカー一台。

そして、
最後に音が止まる。

無音の中で立っている自分を、
初めて否定しない。

それが、
令和の青春映画だ。
作品名:未完成で、踊れ。 作家名:タカーシャン