とどまらない人生という選択
引越し。
転職。
環境の変化。
それらは長いあいだ、
「落ち着きがない」
「根性がない」
「続かない人間」
の証のように語られてきた。
だが本当にそうだろうか。
人生は、本来動くものだ。
人も、価値観も、社会も、止まらない。
それなのに、
人間だけに「とどまれ」「根を張れ」「続けろ」と
言い続けてきた。
しかも、
その“根を張れ”と言われた現実のほうが、
先に姿を変えていく。
引越しは、逃避ではない。
視点の更新だ。
転職は、裏切りではない。
適応であり、進化だ。
場所を変えることでしか
守れない自分もある。
「現実に根を張れ」という言葉は、
一見、強さを勧めているようで、
実は柔軟性を奪う呪文でもある。
根を張りすぎた木は、
嵐で折れる。
移植できない植物は、
環境が変われば枯れる。
人間も同じだ。
長く続けること。
それ自体に意味はない。
意味があるのは、
更新され続けているかどうかだ。
十年続けても、
中身が止まっていれば、
それは停滞でしかない。
三年で場所を変えても、
自分が育っていれば、
それは連続した人生だ。
とどまらない生き方とは、
不安定な生き方ではない。
むしろ、
変化を前提にした安定だ。
場所に執着しない。
肩書きにしがみつかない。
「ここで終わり」と決めない。
それが、
長く生きるための知恵になる時代に入った。
人生は、
一本の幹ではなく、
流れ続ける川に近い。
形を変えながら、
土地を変えながら、
それでも途切れずに続いていく。
とどまらないことは、弱さではない。
変わり続けられることこそ、
最も現実的な強さである。
作品名:とどまらない人生という選択 作家名:タカーシャン



