全ては「待つことをしない」人間世界が作り出している
今の人間世界は、待たない。
返事も、成果も、回復も、理解も、すぐに求める。
止まることは怠慢とされ、
遅れることは欠陥のように扱われる。
けれど本来、
心は待たなければ整わない。
感情は、待たなければ言葉にならない。
人は、待たれてはじめて、自分に戻れる。
ストレス、抑圧、怒り、無気力。
それらは突然生まれたのではない。
待たれなかった結果として、
静かに、必然的に作られたものだ。
人に話せない。
一人になる時間がない。
回復する前に、次を求められる。
この連続が、心の循環を止める。
自然は待つ。
芽が出るまで待ち、
季節が巡るまで待ち、
熟すまで急かさない。
待つこと自体が、生命の仕組みだからだ。
だが人間世界は、
待たないことで成長した代わりに、
壊れやすい心を大量に生み出してしまった。
待つことは、甘えではない。
遅れでもない。
人間でいるための条件だ。
もし令和に必要な改革があるとすれば、
それは効率を上げることではなく、
「待てる社会」を取り戻すことなのかもしれない。
作品名:全ては「待つことをしない」人間世界が作り出している 作家名:タカーシャン



