令和の働き方シリーズ
提出物と納期に追われるのは、人間だけだ
提出物と納期に、ここまで心を削られるのは、人間の世界だけだ。
効率化、スピード、即断即決。
令和の働き方は、合理的でスマートになったはずなのに、心はなぜか追い詰められている。
自然界には締切がない。
花は自分のタイミングで咲き、季節は遅れも早まりも含めて巡っていく。
誰も「遅い」とは言わない。
それでも世界は、きちんと回っている。
人間社会では、納期が仕事の管理を超え、人格の評価にまで入り込む。
間に合わなかった事実よりも、
「間に合わなかった自分はダメだ」という空気のほうが、人を疲れさせる。
本来、納期は目安だ。
協力するための約束であって、
人の価値を測る物差しではない。
だがいつの間にか、守れた人が正しく、守れなかった人が劣る、
そんな単純な世界観が広がってしまった。
人の思考や創造には、ムラがある。
一気に進む日もあれば、止まっているように見える日もある。
止まっている時間は、何もしていない時間ではない。
考えが沈殿し、形になる前の準備期間だ。
令和の働き方に必要なのは、
「早さ」だけで人を測らない視点だと思う。
提出物は期限内に出せばいい。
でも、心まで急がせる必要はない。
追われているのは仕事であって、人間ではない。
この感覚を取り戻すことが、
これからの働き方の“最低条件”なのかもしれない。
作品名:令和の働き方シリーズ 作家名:タカーシャン



