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タカーシャン
タカーシャン
novelistID. 70952
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だから、プッツン切れてきた

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圧がある社会で、
壊れずに生きるための話。


〈だから、プッツン切れてきた〉

― 曖昧さが許されなかった世代の話 ―

私たちは、
曖昧でいることを許されなかった世代だ。

白か黒か。
やるか、やらないか。
好きか、嫌いか。

途中はなかった。
「まだ考えている」は
怠けていると同じだった。

だから、
黙った。
飲み込んだ。
笑ってごまかした。

曖昧な気持ちは
外に出すものじゃなかった。



本当は、
はっきりしない感情の中で
人は生きている。

迷いながら決め、
揺れながら進み、
わからないまま朝を迎える。

でもそれを
口にする場所はなかった。



限界まで溜めると、
ある日、
プッツンと切れる。

前触れはない。
本人ですら
「なぜかわからない」。

でも理由は単純だ。

曖昧でいられる時間が、
あまりにも短すぎた。



プッツン切れた人は、
短気なんじゃない。

むしろ逆だ。

我慢が上手で、
空気が読めて、
自分を後回しにできた人だ。

壊れる直前まで、
ちゃんとしてきた人だ。



だから思う。

これからの社会に
必要なのは、
キレないための根性論じゃない。

曖昧でいられる場所だ。

結論を出さなくていい。
立場を決めなくていい。
黙っていても、
責められない。



曖昧さを肯定することは、
無責任になることじゃない。

人が壊れないように、
余白を残すことだ。



プッツン切れてきた世代だからこそ、
今、言える。

わからないままで、
ここにいていい。

その一言があるだけで、
救われる人は、きっといる。





〈心の圧力計〉

―「ねばならない」に囲まれて育った世代 ―

この世代には、
いつも薄い圧がかかっている。

誰かに怒られているわけじゃない。
命令されているわけでもない。
それでも、心のどこかが張りつめている。

ちゃんとせな
それは違う
それは甘えや

声は外からじゃない。
内側から聞こえる。



この圧は、
「〜ねばならない」
「〜するべきだ」
という形で現れる。

朝起きた瞬間から、
何も起きていなくても、
もう減点されているような感覚。



考えてみれば、
私たちは常に見られていた。

成績、態度、将来性。
親も、先生も、社会も、
「評価する目」を外さなかった。

だからその目を、
自分の中に引き取った。

監視役は、
もう外にはいない。
ずっと、心の中にいる。



曖昧でいることは、
危険だった。

決めない人間は、
置いていかれる。
迷う人間は、
遅れている。

そう信じさせられてきた。



感情を出すより、
我慢する方が安全だった。

怒りも、悲しみも、
その場では飲み込む。

飲み込んだ感情は、
消えない。

形を変えて、
ルールになる。

こうあるべき
こうしなければ

自分を守るために作った檻が、
いつのまにか、
自分を縛るようになる。



それでも、
この圧の正体は
冷酷さじゃない。

むしろ逆だ。

誰かを困らせたくない。
場を壊したくない。
迷惑をかけたくない。

その優しさが、
行き場を失っただけだ。



だから、
この圧を消そうとしなくていい。

ただ、
下げていい。

完璧じゃなくていい。
即答しなくていい。
今日は、守らないルールがあっていい。



心には、
圧力計が必要だ。

振り切れる前に、
針を見て、
少し抜く。



「ねばならない」に
囲まれて育った世代だからこそ、
今なら言える。

生きるのに、
そんなに高い圧はいらない。



〈抜いていい日〉

― 圧を下げる練習 ―
圧は、
溜めた人が悪いわけじゃない。

溜まる構造の中で、
長く生きてきただけだ。

だから必要なのは、
気合でも、
反省でもない。

抜き方だ。



この世代は、
抜くことを教わっていない。

耐え方は教わった。
我慢の美学も叩き込まれた。

でも、
力を抜く方法は、
誰も教えてくれなかった。



だから提案したい。

今日は、抜いていい日がある
それを、自分で決めていい。

理由はいらない。
許可もいらない。



抜くとは、
何かをやめることじゃない。
• 正しくいようとしない
• 役に立とうとしない
• 評価されようとしない

その時間を、
少し作ることだ。



たとえば、

・すぐ返事をしない
・結論を持たない
・効率を気にしない
・黙って座っている

それだけでいい。



抜くことは、
逃げじゃない。

圧を下げなければ、
また切れる。

それを知っている世代だから、
抜くことは、責任だ。



若い世代に渡したいのは、
根性論じゃない。

「抜いていい日がある」という事実。



強くなるより、
壊れないこと。

張り続けるより、
戻れること。



曖昧さが許されなかった世代が、
最後にたどり着く答えは、
案外シンプルだ。

今日は、抜いていい。