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有馬さんのついのべ

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5月10日




小さな頃、僕はとても貧しくて。魚の目玉を集めてた。中の硬い部分が本物の水晶に見えて、小瓶にたくさん詰め込んでた。大人になってから、それは間違いだと気付いた。僕は水晶に憧れて集めていたわけじゃない。眼球が好きなのだ、ただ、単に。



バタイユの眼球譚を読んだ時、これだと思った。丸尾末広の少女椿を読む頃には、僕はもう眼球を舐められる事の快感を知っていた。眼球を舐められると首筋の皮膚の裏側のもっと奥の部分から波が押し寄せてくるんだ。君に分かるかな?分からなければ、しようか?今から、僕が。


作品名:有馬さんのついのべ 作家名:有馬音文