手のなかのガムボールは体温でベタついていた。たった今、その反旗を翻す、6発分のガムボールを装填した銃のトリガーを引く為に。密かには出来ぬと、歓喜の表情を浮かべる。そして低く、天に向かって、神よ合図を出せ!と言った。わたしはイオンモール内にある巨大ボウリング場を出た。あの人たち『蓄積されたフラストレーションに侵された悩ましき者であり、咳をし、悪寒に嘆く者であるとも言える、もしくはPied Piper of Hamelinにより川へ行進すべく者』の閉じ込められている集積場へと向かうのだ。その途中、疾走しながら狂ったように咆哮した、フェンス脇に大量破棄されたボウリングピンの前で。「視覚のトリック」足元に散らばった夥しいまでの骨の残骸。その全長15メートルもの優雅なるティラノサウルスレックスはダメージを与え、強靱な歯と顎で容赦無く相手を噛み砕く、生々しいクリームホワイトの欠片がに散乱していた。わたしは目的地に辿り着く。一瞬の躊躇を覚え、それでも嬉々としてドアを開け放った。その色とりどりのオレンジ、ストロベリー、レモン、バナナ、ブルーベリー、メロンのガムボールを室内に向けて連射する。そのひとつずつの弾丸は、みずみずしい果汁の味と開放を与えた。