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タカーシャン
タカーシャン
novelistID. 70952
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答えはいらなかった

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信頼という不思議な力

信頼できる人に相談すると、
なぜか物事は解決する方向へ動き出す。
不思議なほどに、どんな内容であってもだ。

相手が特別な知恵を持っているわけではない。
魔法の言葉をかけられるわけでもない。
それでも、話したあとには必ず、
「さっきより前に進んでいる自分」がいる。

悩みとは、内容よりも状態なのだと思う。
人は問題そのものより、
それを一人で抱え込んでいる時に、
最も身動きが取れなくなる。

信頼できる人に話した瞬間、
問題は共有される。
たったそれだけで、
重さが変わる。
世界の見え方が変わる。

頭の中にある悩みは、
曖昧で、巨大で、出口がない。
しかし言葉にして外に出すと、
それは急に輪郭を持ち始める。
自分が何に困り、
何を恐れ、
何を望んでいるのかが、
自分自身にも見えてくる。

信頼できる人の前では、
人は無理をしなくていい。
強がらなくていい。
正解を言おうとしなくていい。

そこには、否定されないという安心がある。
だから本音が出る。
弱さが出る。
見ないようにしていた感情が、
そっと顔を出す。

すると不思議なことに、
相手が何かを「解決」しなくても、
自分の中で答えが動き始める。
方向が、少しだけ修正される。

行き止まりだと思っていた道が、
実は「見失っていただけの道」だったと
気づくこともある。

信頼とは、
答えをくれる力ではない。
自分の中にある力を、
再び信じさせてくれる力だ。

振り返れば、
私自身も、誰かに話し、
誰かに聞いてもらうことで、
人生の方向を変えてきた。

そして今は、
誰かが安心して言葉を置ける場所で
ありたいと思っている。

信頼できる人とは、
問題を解決してくれる人ではない。
問題が「動き出す場」そのものなのだ。

静かで、目立たず、
けれど確実に人生を前へ押す、
不思議で、確かな力である。