小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
タカーシャン
タカーシャン
novelistID. 70952
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

4%の真実

INDEX|1ページ/1ページ|

 
4%の真実——宇宙と人間をつなぐ静かな哲学

私たち人間は、日々の生活の中で「差」という言葉に大きく振り回されている。
あの人はよく知っている、自分は知らない。
あの人はできる、自分はできない。
あの人の人生は順調で、自分は停滞している。

比較するつもりがなくても、目に入る情報や環境によって、
自然と人は比べてしまう生き物だ。
特に現代は、SNSやメディアによって、他者の光だけが強調される。
その光の強さに触れたとき、
自分がどれほど暗い場所にいるかのように錯覚してしまう。

だが、そんなときにこそ思い出してほしい真実がある。

私たちが理解できている宇宙は、わずか4%にすぎない。

これは比喩でも誇張でもない。
科学者たちが観測機器を総動員し、歴史を超えて調べ続け、
それでも明らかになったのは“4%だけ”という現実である。

残りの96%は、
「ダークマター」「ダークエネルギー」と呼ばれながらも、
その本質はほとんどわかっていない。
質量を持つのか、どんな性質なのか、何をもたらしているのか。
説明できないことだらけで、
宇宙は途方もない謎の塊のまま、静かに広がっている。

この事実を真正面から受け止めると、
私たちが日常で悩んでいる「差」とは一体なんなのか、視点が変わり始める。



■ 4%の世界で争う人間たち

人間社会は、4%の中のわずかな差を拡大し、
まるで決定的な違いであるかのように扱ってしまう。
学歴、職位、所得、容姿、能力、経験値。
確かに差はある。
だがそれは、宇宙全体から見れば、「米粒の影の濃淡」ほどの違いにすぎない。

なぜ、そんな微細な差で苦しむのか。

それは、私たちが“光の当たっている部分”だけを比べているからだ。
見えている部分、知り得る部分、評価される部分。
それらはすべて4%の領域である。

しかし、本質はその外側にある。
96%の、名前も性質もわからない巨大な闇の領域。
そこでは、人も宇宙も、みな深い未知の中に生きている。

この事実は、人間同士の差を確実に相対化する。

差はあるが、差はない。

これが、宇宙が教えてくれる本質である。



■ 96%の未知を抱えるという平等

人間は皆、同じ96%の“わからなさ”を抱えている。
どれだけ賢い人も、どれだけ優れた科学者であっても、
人生のすべてを理解しているわけではない。
むしろ「わからない」に触れるほど、謙虚になり、
未知の広さに圧倒されるようになる。

つまり、人は――
わからなさによって平等に戻されるのだ。

どれだけ知識があっても。
どれだけ能力があっても。
どれだけ実績を積んでも。

その人もまた、96%の暗闇の中を歩いているだけの存在である。

だからこそ、人を上に見る必要も、下に見る必要も本来ない。
見えている部分だけでは、その人の本質も可能性も語れない。



■ “わからないまま”で進んでいく人生

人生は、宇宙と同じ構造を持っている。
わかっていることはほんの少し。
予測どおりに進むこともあるが、それは氷山の一角で、
大部分は想定外でできている。

たとえば、
偶然の出会い、突然の別れ、思わぬ転機、予想外の成功。
すべては「96%の未知」の領域からやってくる。

つまり、人生を豊かにしているもののほとんどは、
“わかっていない世界”から流れ込んでくる贈り物なのだ。

未知があるから希望が生まれ、
わからないからこそ努力が生まれ、
予兆のない変化があるからこそ人生が動く。

もし人間が宇宙の100%を理解していたとしたら、
生きる意味の大半は失われてしまうだろう。

わからなさは不安の源であると同時に、
生きる意味そのものでもある。



■ 差を気にしないで生きるという自由

宇宙が4%しかわかっていないと知ると、
自分にも他者にも、自然と優しくなれる。

「あの人はできて当たり前」
そんな思い込みは消える。

「自分はできないからダメだ」
そんな自己否定も必要なくなる。

そもそも、人間はみな未知の中にいる。
不確かな世界で、今日を懸命に生きている。
そこに、優劣などつけようがない。

人の違いは、96%の巨大な闇の中では些細な微粒子であり、
その微粒子の違いが、人生の豊かさ、世界の彩りを生み出している。

すべてが同じである必要はない。
むしろ、違っているからこそ意味がある。

「違いはあっていい。
 違いこそ宇宙の原則であり、
 違っていても本質は変わらない。」

この真実に気づくと、自分の歩幅で生きればいいと思えるようになる。
人の速度に合わせる必要もない。
自分の光が弱く見えても、それは光の当たり方の問題であって、
存在の価値そのものではない。



■ 宇宙は静かに語っている——“そのままで完全だ”と

宇宙は、膨大な謎と共に存在している。
すべてを理解していなくても、
すべてを説明できなくても、
宇宙はただそこに在り、完璧である。

その宇宙の中に生まれた人間もまた、
同じ原理で成り立っている。

理解できていない部分があっていい。
説明できない感情があっていい。
まだ言葉にならない願いがあっていい。
形になっていない可能性があっていい。

むしろ、それこそが人間の美しさだ。

宇宙は全体の4%しか姿を現さないのに、
その存在は完全である。

ならば私たちも、
4%の自分しか見せなくてもいい。
わからない96%を抱えたままでも、
それで完全なのである。



■ 最後に——4%の真実と共に生きる

もし、差に疲れたなら。
もし、比較に心がすり減ったなら。
もし、自分の価値を疑い始めているなら。

この事実をそっと心に置いてほしい。

人間が知っているのは4%。
できることも4%。
見えているのも4%。

残りの96%は、
誰も知らない、誰も理解していない、
巨大な「わからないの海」である。

その海は、人を平等にし、自由にし、
そして優しくする。

違いはあるが、差はない。
宇宙がそういうつくりなのだから、
人もまた、そういう存在である。

今日も、96%の未知を胸に抱えながら、
あなたはあなたの歩幅で生きていけばいい。

宇宙は静かに語っている。
——「そのままで、完全だ」と。
作品名:4%の真実 作家名:タカーシャン