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タカーシャン
タカーシャン
novelistID. 70952
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積み上げすぎた心の荷物を軽くする方法

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〈アンラーン ― 降ろすとは、なにを手放すことなのか〉

アンラーン。
「学びほぐし」「手放し」「脱・固定観念」。
言葉にすれば簡単だ。
風通しのいい未来を感じさせる響きも持っている。

しかし、実際のアンラーンはそんなに軽いものではない。

特に昭和を生き抜いてきた世代にとっては、
降ろすという行為は「否定」に近く感じられる。
積み上げてきた努力、汗、根性、責任感、義理、我慢、忍耐。
それらは人生の土台であり、誇りであり、
生きる“筋肉”そのものだった。

だから、「降ろす」と言われても、
何を降ろしていいのかわからない。

しかも厄介なのは、
“降ろしたつもりで、実はまた積んでいる” という現象だ。

「もう昔のやり方はやめよう」と思った瞬間、
その“やめよう”という意志そのものが
新たな価値観として積み重なり、
また固まっていく。

これこそが
アンラーンの一番の落とし穴である。

アンラーンとは、
大掛かりな破壊でも、
全否定でもなく、
重かった荷物を無理に投げ捨てることでもない。

“降ろすつもりでまた積む” という構造そのものに気づくこと。
これが第一歩なのだ。

そして、もうひとつ大切な視点がある。

  「降ろす」ではなく「圧縮する」でもいい。

降ろすのがつらいなら、
ムリには捨てなくていい。
積み重ねたものを否定する必要もない。

ただ、
そのままでは重すぎたり、
時代と噛み合わなかったり、
動きが鈍くなるなら。

圧縮すればいい。

・迷惑をかけないよう必死で頑張ってきた「昭和の責任感」は
 → もっと軽やかな「自律」として圧縮する。

・我慢して耐え抜いてきた経験は
 → 「寛容」「許す力」へ圧縮する。

・年下に教えるための“上から目線の知恵”は
 → 対等に向き合う“伴走の知恵”へ圧縮する。

・強さや根性は
 → 柔らかい芯の強さへ圧縮する。

降ろせないもの、降ろしたくないもの、
降ろすと自分が自分でなくなるようなもの。
そういうものは、捨てる必要はない。

重たい形ではなく、
軽やかな形に圧縮して持ち運べばいい。

アンラーンとは、
何もかも捨てることではない。
過去と決別することでもない。

「形を変える」こと。
「軽くする」こと。
そして何より、
「その仕組みに気づいていく」ことである。

昭和は重く、令和は軽い。
その狭間にいる私たちは、
捨てられなくてもいい。
ただ、圧縮して前に進めばいい。

その気づきこそ、
もっとも現実的で、
もっとも優しいアンラーンである。