昭和・平成・令和 いまこそアンラーンの時
私たちは、三つの異なる時代を生き抜いてきた。
昭和の熱、平成のスピード、令和の静けさ。
それぞれの時代には、それぞれの“空気”があった。
その空気を吸い込み、私たちの価値観はつくられた。
だが今、思う。
時代をまたぐほど、価値観は重くなる。
背中に積もっていく“考え方の荷物”が、未来への動きを鈍らせているのではないかと。
そこで必要になるのが「アンラーン」。
学び直す前に、まず“脱ぎ捨てる”ことだ。
昭和の熱は消えないが、その形はもう使えない
昭和は、焼けるような根性の時代だった。
我慢、努力、忍耐。
自分を削ってでも成果を出すことが正義だった。
その美徳は消えない。
しかし、同じやり方を令和に持ち込むと、息が詰まる。
人の心も社会も、あの時ほど単純ではない。
昭和は「力の時代」だった。
だが令和は「感性の時代」である。
昭和の誇りは胸に残していい。
ただし、昭和の方法論は、そっと手放してもいい。
平成は効率の時代。しかし効率は心を削ることもある
平成に入ると、価値観は大きく変わった。
IT化が進み、合理化が進み、スピードが尊ばれた。
合理的であること、正確であること、無駄を嫌うこと。
これらは社会を大きく進歩させた。
しかし同時に、人の感覚は薄くなり、
「速さが正義」になりすぎた。
平成の知恵は素晴らしい。
ただし、
効率だけで未来はつくれない。
令和が求めるのは、速さよりも「深さ」だ。
丁寧さ、つながり、余白、温度。
効率の価値観だけでは届かない領域に、今の時代の答えがある。
令和の感性とは何か
令和は不思議な時代だ。
SNSで世界がつながっているのに、人は孤独を感じる。
便利になったのに、心は複雑化している。
だからこそ、令和のキーワードは「やわらかさ」。
・余白をつくる
・無理しない
・比較しない
・多様性を認める
・正解より調和
・強さより軽さ
令和は“脱力の時代”ともいえる。
力を込めるのではなく、力を抜くことで前に進む。
人を押すのではなく、寄り添うことで動き出す。
昭和の根性も、平成の効率も、令和では強さを発揮する——
ただし「形を変えれば」の話である。
アンラーンとは、忘れることではない
アンラーンとは、学んだことを“無かったこと”にする行為ではない。
むしろ逆だ。
詰め込みすぎた価値観から、自分を解放する作業である。
・他人から植え付けられた正しさ
・時代に合わせたふるまい
・いつの間にか抱えた恐れや癖
・もう役に立たない成功パターン
これらを一つずつほどいていく。
アンラーンは破壊ではない。
アンラーンは「脱皮」である。
ヘビが皮を脱ぐとき、古い皮は役目を終えた。
人もまた、時代が変われば、価値観の皮を脱ぐ必要がある。
古い概念を捨てると、余白が生まれる
古い考え方を手放すと、不思議と“余白”が生まれる。
この余白こそが、令和の最大の資産だ。
余白は、
・新しい感性を迎え入れ
・新しい選択を生み
・未来の兆しをキャッチする場
になる。
余白のない人は、変われない。
余白のない組織は、未来を作れない。
余白のない社会は、夢を描けない。
アンラーンとは、
未来を迎えるための準備運動なのである。
そして、未来の「余韻」を生きる
未来とは、まだ見えない。
しかし、未来には“余韻”がある。
気配のようなものだ。
アンラーンを経て心に余白ができると、
この未来の気配に気づきやすくなる。
・これからの時代はどんな温度なのか
・何が求められるのか
・どんな生き方が心を豊かにするのか
未来の余韻を感じられる人は、変化を恐れない。
むしろ、変化を楽しむ。
昭和の熱、平成の効率、令和の柔らかさ。
それらをすべて抱えたうえで、
未来へ向かう自分だけの“リズム”が生まれる。
まとめ：時代は変わった。次は私たちが変わる番だ
昭和から令和まで、社会は驚くほど変わった。
しかし、もっと変わるべきなのは「私たちの中身」かもしれない。
手放すこと。
脱ぎ捨てること。
軽くなること。
アンラーンとは、
未来へ向かうための心のメンテナンスである。
時代の変化は止められない。
だが、変わる勇気を持つことはできる。
昭和も平成も令和も、すべて生きてきた私たちだからこそ言える。
いまこそアンラーンを。
古い概念を捨て、その余白に令和の感性を。
そして未来の余韻を迎え入れていく。
作品名：昭和・平成・令和 いまこそアンラーンの時 作家名：タカーシャン