見えない柱たち
誰だろうか。
経済界の要人、高所得の人々。
確かにその働きは大きく、
多くの人の暮らしを動かしている。
光の当たる場所で、
拍手と評価の渦の中を歩く人たち。
しかし——
国の土台を、毎日、黙って背負っているのは、
まったく別の場所に立つ人々だ。
名前が知られることもない。
称賛の言葉もほとんど届かない。
代わりの効かない、
誰もやりたがらない仕事を、
今日もただ、実直にやり切っている低所得の人たちだ。
夜明け前に動きはじめ、
人々が寝静まったあとも働き、
手は汚れ、身体はきしみ、
それでも「役に立てばいい」と黙々と。
その偉大さは、
本人さえ気づかない。
まして周りも気づかない。
けれど社会は、
この“見えない柱”たちの上に静かに立っている。
彼らが一日休めば、
経済界の豪華な建物も、
瞬く間に揺らぎはじめる。
世の中は、
人目につく場所だけで回っているのではない。
底辺と呼ばれる場所こそ、
本当の「基礎」であり、
そこが強いから、世界は倒れずにいる。
だから今日も、
名前も光も求めず、
ただ仕事を全うする人たちへ。
あなたが気づかないあなたの価値を、
社会全体が密かに支えられているという形で
証明している。
偉大さとは、
本人にも他人にも、
気づけないほど深く静かに宿るものだ。



