「2.9%の嘘」
「物価は前年より 2.9% 上昇しました」と。
だが、その数字を聞いて
「そんなものか」と思う庶民は、もうどこにもいない。
生活必需品、食料品——
実際には 2倍、3倍 になったものもある。
肉も、パンも、油も、外食も。
暮らしの底で起きている“体感インフレ”は、
統計の数字では測れない。
平均値が語る「国全体の物価」と、
庶民が受ける「生活の打撃」。
この距離が広がれば広がるほど、
数字は現実から解離し、
情報は逆にストレスをもたらし、
人々を黙らせる麻酔にもなる。
本当に伝えるべきなのは、
“底辺”と呼ばれる層の現実だ。
1円の値上がりに立ち止まり、
特売日に列をなす人々の息づかいだ。
数字は嘘をつかない。
しかし——
数字は真実の一部しか語らない。
そこを見ないニュースは、
むしろ逆効果になる。



